森岡毅にまたまた脱帽させられた

森岡毅の本は今までに2冊読んだが、そのいずれも本当にめちゃめちゃ面白く、役に立つことばかりで、僕はすっかり森岡毅に首ったけになってしまった。

既に読んだ2冊は、森岡毅が最初に書いた2冊の本である。
『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』と
『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門』であった。

今回紹介するのは、森岡毅の第4作目にあたる本書『マーケティングとは「組織革命」である。個人も会社も劇的に成長する森岡メソッド』である。

これが既に読んだ2冊に勝るとも劣らない抜群の面白さと刺激の強さであった。僕の森岡毅へのボルテージは上がるばかりである。

紹介した本を正面から撮影した写真
これが表紙。赤い表紙はかなりインパクトが強い。帯の森岡毅の表情は柔和だが、今回はかなり厳しい話しも多い。

 

今回の本は、マーケティングとはもちろん切り離すことができないのだが、ずばりのマーケティングそのものの話しではなく、組織論とヒトに関する話しが中心となっている。そして組織論の延長として「社内マーケティング」の勧めがいつものように熱く語られる。

本当に面白くかつ刺激的で、冒頭から最後まで今回もワクワクドキドキしながら、一気に読み切ってしまった。

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『マーケティングとは「組織革命」である。』の基本情報

2018年5月28日に第1刷が発行された森岡毅の通算4冊目の本である。僕の購入したした本は2021年12月21日発行の第9刷。かなり増刷されているのが分かる。

350ページもあるそれなりに厚い本ではあるが、目次だけで5ページも費やしているところからも分かるように、全体的にフォントがかなり大きく、ページ数の割に、本当に直ぐに読めてしまう。集中して読めば5~6時間でしっかり読むことができるのではないか。

僕は普段から同時に7冊くらいの本を同時並行して読むタチで、今月はそれを4冊に絞り込み、同時並行してかなり一気呵成に読み込んでいたので、1冊読み切るのにどれだけの時間を要したのか把握することが困難なのだが、本書1冊に集中して読めばホンの数時間、昼間働いているサラリーマン諸氏にとっても3~4日もあれば軽く読めてしまうことは間違いない。

そしてとにかく面白く、いつものように森岡毅の熱量は相当に熱いので、こっちも一気に引き込まれ、直ぐに読めてしまう。素晴らしい1冊だ。

紹介した本を立てて撮影した写真。
立てて撮影するとこんな感じである。かなり厚めに見えるが、フォントは大きいので直ぐに読める。

本書の全体の構成と内容

森岡毅の本はとにかく無条件に面白いばかりか、実際に役に立つので、最近ではすっかり心酔してしまっているのだが、唯一の難点は本のタイトルがやたらと長過ぎること(笑)。本当に長い。長過ぎる。

第1作目が、『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』
第2作目が、『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門』

そして第4作目の本書は、『マーケティングとは「組織革命」である。個人も会社も劇的に成長する森岡メソッド』

どう考えても長過ぎる!もう勘弁してほしい!(笑)

まあ、逆に言えばこの長いタイトルを読めば、中に何が書いてあるのか、相当ハッキリして誤解がなくていいのかもしれない。

それでも僕は、ここで本書の全体の構成をハッキリさせておきたい。

目次から具体的に引用

全体は5つのパーツからなる。

先ずは9ページにも及ぶ「はじめに」一人でも会社に変化は起こせる!

第一部 組織に熱を込めろ!「ヒト」の力を活かす組織づくりの本質
第1章 USJを劇的成長に導いた森岡メソッド
第2章 マーケティング革命とは「組織革命」である。
第3章 理想の組織とは「人体」である。
第4章 人間の本質とは「自己保存」である。
第5章 社員の行動を変える「3つの組織改革」

第二部 社内マーケティングのススメ 「下」から提案を通す魔法のスキル
第6章 自分起点で会社を変える個人技
第7章 あなたは一体何を変えたいのか?(目的の設定)
第8章 成功のカギはターゲット理解が9割(WHO)
第9章 何が相手に響くのか?(WHAT)
第10章 伝え方の技術(HOW)

第三部 成功者の発想に学べ!起点となって世の中を変えた先駆者たち
 鈴木 敏文
 秋元 康
 佐藤 章
 佐藤 可士和

終章 マーケティングの力で日本を元気に!

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「目から鱗」の連続で極めて刺激的な本 

これは本当に非常に勉強となった貴重な1冊である。読んでいて「目から鱗」の連続で、ワクワクドキドキが本当に止まらなくなってしまう。いちいち頷けて、納得できることばかり。

先に読んだ2冊にも勝るとも劣らない感動と衝撃があったと正直に告白させてもらう。

本書で展開される内容は、引用した目次を見てもらえば一目瞭然だが、組織論なのである。

森本毅は「はじめに」の冒頭で、本書は「ヒト」の力を活かす「組織」をつくるための本質と、一人のサラリーマンでも「組織」を動かす起点になるための秘訣の2つを伝えることが目的だと言い切っている。ビジネスで最も重要な「ヒトと組織」の本質を理解することができる世界で一番分かりやすい本になることを目指すとも言っている。

僕は本書から、組織の中で個人がどう貢献をし、自己アピールしていくのか?そして個人が頑張ることによって、組織そのものを変革させるにはどうしたら良いのかについて、非常に分かりやすくかつどこまでも具体的に展開する解説書だと理解している。

「危険な本」とも言えるトコトン役に立つ一冊

そういう意味では、本書は少々恐ろしい「危険な本」だとも言える。若い有能な一社員が頑張ることで、組織を大きく変革し、いわば社内に革命を起こすことを可能とする教則本なのである。

組織のトップや上司はウカウカとしてはいられない。若い優秀な人材がこんな手練手管を身に付けて、組織改革に取り組むとすれば、旧態依然とした組織は生き残れなくなる。それについていけなければ、そんな組織にはいられなくなってしまう。

実際、この森岡メソッドをしっかりと身に付けて実践していけば、確実に組織は変わり、大きな変革がなされるものと思われる。

それくらいに今回の森岡メソッドの効果は的面のように思われてならない。

これは凄い本が現れたものだ。森岡毅の非常に感銘を受けた2冊よりも、もっと過激な恐ろしい本の出現である。

じっくりと読み込む必要がある。

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人間の本質にまで遡っての改革論に感動

今回、本書を読んでつくづく感銘を受け、「森岡毅、恐るべし」と痛感させられたのは、何と言っても『第4章 人間の本質とは「自己保存」である。』の部分である。

本書は、いわゆる自己啓発本であり、哲学書でも高邁な人生論でもない。

だが、今回紹介する本書に書いてあることは哲学書に勝るとも劣らない強烈なインパクトと深い洞察がある。それがこの第4章だ。

森岡毅はハッキリと断言する。

人間の本質は「自己保存」である

「人間の本質は自己保存である」。人間の本質が自己保存とはどういうことなのか?森岡毅の解説は明快だ。「自分の生存確率を最優先することだ」と明言する。

僕としてもこの考え方には全く異存はなく、そのとおりだと認めざるを得ない。

だが、自己啓発本の組織論を説くに当たって、ここまで人間の本質に切り込んで、しかも「自己保存に尽きる」と断言してしまうのはかなりのものだ。中々できることではない。

こんな自己啓発本では、もっと人間の本質を肯定的に捉え、夢と希望を抱かせるのが普通だと思われるのだが、森岡はそうしなかった。

一切の忖度なしで、ズバリ本質に迫っている。そのことに僕は正直、驚かされた。仰天してしまった。さすがは森岡毅だなと深く感銘させられた次第。

そして、その先が更にすごい。

人間の本質を自己保存だと断言することで、ヒトを動かす原理、いやヒトが動く原理を「自己保存」に適う形でしかありえないと考える。どのようにしてヒトを動かし、あるいはヒトはどのような場合にしか動かない存在であるのか、ということを、全て自己保存の本質から解き明かす。これはちょっと恐い話しだ。

人間の本質は自己保存にあることから導き出される組織改革

森岡毅は何と大胆にも、第4章の中に『「自己保存」の本能を逆手に取るアメとムチ』というタイトルを掲げて、次々と恐ろしいことを展開する。

人間の本質は現状維持であり自己保存だ。人によって程度の違いはあっても、良い悪いではなくて誰しもがそういう本能を持っている。ここから個人と組織の関係について考察されるのだが、詳細は本書を実際に読んでもらうとして、森本は「組織づくりの本質は何か」と問われれば、「自己保存の本能を逆手に取ること」だと迷わず答えている(本書の中では、間髪入れずに答えることにしていると書いている。恐い・・)。

具体的にはこういうことだ。

『会社が望む行動を人々に取らせる確立を上げたい場合、自己保存の本能に反する形で推し進めてもうまく行きません。反するのではなく、自己保存の本能に適うように推進できれば結果は良い方向に動きます。
 自己保存の本能を満たす方法は主に2つあります。それこそが古典的な人心掌握術の知恵である「アメ」と「ムチ」です。Aをすれば「アメ」をもらえるか、Aをしなければ「ムチ」を漏れなく喰らうと理解した時、人々は自己保存のためにAをやる確率が顕著に高まります。それは「変わるための必然をつくる」ということ』

そして更にこう続いていく。

『人は自己保存のために変化を嫌う生き物ではあるのですが、生存確率を高めるためには好ましくない行動でもあえて行う自己保存の生き物でもあるのです。(中略)「アメ」と「ムチ」の両方を明確にシステム化しなければなりません。組織にとって正しい行動をとることが、個人としての自己保存を実現するように仕組みを変えるのです。』

です、ます調で非常に丁寧に書かれているのだが、書いてある内容は相当過激で、目的のためには手段を選ばないというマキャベリズムの最たるものとも言えそうだ。

森岡毅はかなり恐ろしい・・・。

だが、実際にそうなのである。おかしなことは全く書かれていない。組織目的を実現するためにはそのように行動しなければならないことは、全くその通りなのである。

この考え方を全ての前提として、組織革命を実現するためのノウハウを具体的に展開していく。

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社内マーケティングは森岡の最も得意な分野

この部分は個人がどうやって組織を変えていくのかという本書のもう一つの目的について、これまたどこまでも分かりやすく具体的に展開している。

直ぐに役に立た部分と言ってもいい。即戦力に成り得る部分。

マーケティングの対象を顧客に対してではなく、社内の幹部や上司に応用するという森岡毅ならではの発想で、これもちょっと怖くなってしまいそう。

それくらい勉強になるということだ。ここから学ぶべことは山のようにある。

森岡毅が忖度なしの本音で語った稀有の一冊

少し森岡毅のイメージが変わるかもしれない。かなり怖いことも書いてある。だが、一切の忖度なしで、本音で書かれているだけに、怖ろしくも非常に役にたつものばかりだ。

第3部の著名な成功者たちとの対談も、僕は非常に興味深く読むことができて、大いに参考になった。

どうかやる気のある人材は、本書を読んで牙を磨いていただきたい。組織の中で苦労しつつも夢を諦められないやる気のある全てのサラリーマン諸氏にとってのバイブルに成り得る貴重な一冊

是非ともじっくりと読んでいただきたい。大いに参考になることだろう。

 

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