信じ難い快進撃継続中のリドリー・スコット

リドリー・スコットのあり得ない快進撃が少しも衰えないばかりか、更にギアが上がったような勢いだ。

この「熱々たけちゃんブログ」の中でも何本も取り上げてきたリドリー・スコット。

リドリー・スコットは過去に名作・傑作を量産していて、もうとっくに伝説上の名匠になってもおかしくない人なのに、現在87歳、80代にいう超高齢になっても益々盛んに傑作、力作を作り続けているのだ。

僕のような熱烈なファンでも、「ちょっとあり得ないな」、「どうしちゃったんだろう?」というレベルなのである。

ここでも取り上げた近作が2本。「最後の決闘裁判」「ハウス・オブ・グッチ」

この2本もすごい出来栄えで驚嘆させらたものだが、さすがにこの辺りで打ち止めだと思っていた。
だって、もう90歳近いのだから。

ところが、嬉しい誤算で、そうはならなかったのだ。

まだまだリドリー・スコット伝説は続くのである。

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「ナポレオン」と「グラディエーターⅡ」

あの2本を撮った後で、更に「ナポレオン」という超大作を作った。これはもちろんあのフランスの英雄ナポレオンを描いた映画で、激しい戦闘シーンとスペクタクルに彩られている。

公開映画は158分。2時間半強だが、4時間半以上のロングバージョンも存在するという大作だ。

かつてあの究極の天才映画監督スタンリー・キューブリックが撮ろうとして果たせなかった企画を受け継いだ格好だが、もちろん85歳を超えた老齢の監督が撮れる題材ではない。

脱線覚悟で「ナポレオン」の言語批判

僕は未だ観ていないので、軽はずみな評価は避けたいが、実はあまり芳しい評価を受けることができなかった。

情報を断片的に聞いただけで真相wk確認していないが、ナポレオンはもちろん、登場するフランス人がフランス語を話さず英語で話すと聞い、大いに失望させられた。

なんでそんな愚かな選択をしたんだ?

英語を話すナポレオンなんて、許されるわけがない。今どきは、テレビドラマでも現地の言語を用いることが当たり前になっている。

例えば、大変な高評価で絶賛されている真田広之の「将軍」でも、アメリカのテレビドラマなのに、全編日本語で貫かれている。それが高い評価にも繋がっているわけだ。

僕が夢中になっているテレビドラマの「アウトランダー」でも、クレア、ジェイミーはもちろん登場人物の全てが現地の言葉を使っている。シーズン2では舞台がスコットランドからフランスに移るのだが、全員がしっかりとフランス語を話している。全く聞き取れないスコットランドの言葉であるハイランド語まで使っているのだ。

なのに、巨匠リドリー・スコットが作る超大作の「ナポレオン」が、フランス語を使わないと聞いて愕然とした。

リドリー・スコットたるものが、何というお粗末!

ちょっと脱線してしまった。映像的には絶賛されている「ナポレオン」が、つまらないことで、いや言葉は重要なこと!批判されるのは耐え難いということだ。

いいたいことは批判ではない。逆である。

使用言語のことなど批判もあるが、高齢のリドリー・スコットが凄まじい超大作映画を撮った、これを強調したい

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絶賛される「グラディエーターⅡ」

それだけに留まらず、更なる衝撃ニュースが世界中を駆け巡った。

あの「グラディエーター」の続編である「グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声」を撮ったというのだ。

リドリー・スコットの並みいる名作・傑作の中にあっても格別に評価の高い「グラディエーター」の続編を、リドリー・スコット自身が監督を務めて撮ったと。

しかもこれが絶賛されている。「ナポレオン」では批判もあったが、この「グラディエーターⅡ」は大絶賛で、前作にも勝るとも劣らない傑作の誕生となったようだ。

こちらも148分、約2時間半の大作である。

これも僕はまだ観ていないので、核心的なことは言えないが、リドリー・スコットのバイタリティとエネルギーに唖然とさせられる。

何と言ってもリドリー・スコットは、現在87歳なのである。どうしてこんな大作、派手なアクションシーンを伴う大スペクタクル映画を、休む暇もなく次から次へと作り続けることができるのか?

もしかしたら80代の今が絶頂期ではないか、80歳になって絶頂期を迎えたと言いたくなる事態に、昔からの熱心なファンの僕も戸惑ってしまう程なのだ。

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「エイリアン:ロムルス」でも注目が集まる

それだけではない。

昨年公開されて多くの映画ファンを唸らせた「エイリアン」シリーズの最新作「エイリアン:ロムルス」が話題になる中で、「エイリアン」の生みの親で、今でも最高傑作だったと崇拝される第1作目の「エイリアン」を監督したリドリーにも脚光が当たっている。

というのは、「エイリアン:ロムルス」を監督した新進気鋭のフェデ・アルバレスがリドリー・スコットを深くリスペクトしており、「ロムルス」を作るに当たっても1作目のリドリー・スコット作品への回帰を掲げ、見事に実現を果たしたと言われているのだ。

作品を観たリドリー・スコット自身も「おもしろい。素晴らしい」と絶賛し、ここで再びリドリー・スコットの偉業を再認識させられることになった。

「ロムルス」ではリドリー・スコット自身も製作を担当している。

ブルーレイに収録の対談が素晴らしい

「エイリアン:ロムルス」のブルーレイの映像特典として、フェデ・アルバレス監督とリドリー・スコットとの対談が収録されており、親子以上に年の離れた二人が互いにリスペクトし合っている姿に深い感銘を受けた。

ここでのリドリーは85歳を軽く超えているはずだが、実に若々しく精力的でビックリしてしまった。

これだから「ナポレオン」や「グラディエーターⅡ」を作れるんだと痛く納得もさせられた。

ということで、87歳になったリドリー・スコットの怒涛の快進撃が止まらない

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リドリー・スコットに関する凄い本が出た

そんなタイミングで、とんでもない本が出版された。「リドリー・スコットの全仕事」である。

嬉しいことに、直近の「ナポレオン」と「グラディエーターⅡ」までタップリ収められたリドリー・スコットに関する研究書というか解説書。言ってみれば詳細なフィルモグラフィみたいなものだ。

紹介した本の表紙の写真
本の表紙。これがリドリー・スコットの姿。帯に書かれたアニメ監督の押井守のコメントが核心を突いている。
紹介した本の裏表紙
裏表紙がこちら。「グラディエーター」「テルマ&ルイーズ」「エイリアン」「ブレードランナー」そして最新作の「グラディエーターⅡ」の1シーンのカット。
紹介した本を立てて撮影した。それなりの厚みがある。
立てるとこんな感じ。それなりに厚みがある。

 

この類の個別の映画監督の解説書は山のように出回っている。著名映画監督であればそんな解説書がない方が珍しい位だ。

僕も今まで色々と買い揃えたものだが、中々満足できる本に出合ったことがない。

中途半端で掘り下げに欠けるものか、あまりにも専門的過ぎて難解過ぎるもの。詳しいものならどんなに詳しくても大歓迎なのだが、映画評論家やライターが妙に難解な自説を展開し、独善的なのが多くて、始末におけない。

どんな内容のものであっても、つまり難解過ぎたり、独善的なものであっても他ならぬリドリー・スコットに関する全作品の解説書なら買わないわけにいかないと、出版前に宣伝を目にしてからは、実物を手にする前から購入を決め予約していたが、これは素晴らしい1冊だった。

いい本を出してくれたものだ。

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「リドリー・スコットの全仕事」の基本情報

今年(2025年)の年明けに出版されたばかりの新しい本である。

奥付けを見ると、2025年1月8日 第1刷とある。今日は1月30日である。今月出たばかりの出版されてまだ3週間しか経っていない本だ。

実に素晴らしい本で、僕は100%満足している。

紹介した本の目次部分
目次部分はこうだ。全編を通じて写真が驚くほど豊富。良心的な本だ。
本書の中を見開きで紹介①
本書の中を見開きで紹介① リドリー・スコットの写真が満載だ。

 

ページ数は287ページ。ほぼ全てのページにカラー写真を中心にリドリー・スコットの映画の中のⅠシーンを始め、演出中のリドリー・スコットの写真など、実に豊富に掲載されており、オールカラーの約300ページと言っていい豪華な本である。実に良心的な作り。

驚く程の情報量に圧倒されるが、決して難解ではなく、非常に分かりやすく、映画ファン、あくまでも観客の視線で書かれている点が非常にいい。

大変な労作だと高く評価したい

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著者はイギリスの映画ライター

著者はイアン・ネイサンというイギリスの映画ライターである。

本書の扉に掲載されているプロフィールを転載させていただく。

「イギリス出身の映画ライター。映画雑誌 Empire の元編集長兼編集部エグゼクティブで、現在も多数寄稿。著作に『エイリアン・コンプリートブック』『クエンティン・タランティーノ 映画に魂を売った男』『クリストファー・ノーラン 時間と映像の奇術師』『ギレルモ・デル・トロ モンスターと呼ばれた男』『レジェンド・オブ・マッドマックスー完全メイキングブック』『デイヴィッド・リンチ 幻想と混沌の美を求めて』などがある。」

あまりにも多い情報量

リドリー・スコットの映画に関するありとあらゆるエピソードと創作秘話が満載だ。

詳細過ぎる程。だが、前述のとおり妙に専門的になり過ぎることはなく、あくまでも観客目線で書いてくれていることが嬉しい。

あまりにもおもしろ過ぎて、僕は時の経つのを忘れて読み耽ってしまう。

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不満は一つだけ

不満は一つだけ。

フォントというか文字が小さ過ぎること。これに尽きる。本当に本書の文字は小さ過ぎる。虫眼鏡が必要になるレベルと言っていい。

あまりにも情報量が多過ぎることが要因だろうが、せめてもう一回り大きくできなかっただろうか。だが、そうすれば本書は軽く500ページ超の分厚なものになってしまったことは明らかだ。

本書にはカラー写真、それは映画の1シーンだけではなく、撮影中のリドリー・スコットの様子や他の映画の1シーンなどが豊富に掲載されていて、見飽きることがない。

本書の中を見開きで紹介②
こんな感じでいかにも文字が小さいが、貴重な写真が嬉しい。リドリー・スコットが「第三の男」「2001年宇宙の旅」から決定的な影響を受けたとある。ビックリ仰天。この2本の映画こそ僕の生涯ベスト2に他ならない。
本書の中を見開きで紹介➂
本書の中を見開きで紹介➂ 豊富に貴重な写真が出てきて、本当に嬉しくなってしまう。

これが写真なしで、ビッシリの細かな文字だけだったら、とても読む気になれなかったことだろうが、ほぼどのページにも出てくる貴重な写真のおかげで、文字の小ささがそれほどは苦痛にならないのが救い。

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リドリー・スコットの名作群に改めて驚嘆

本書の巻末にリドリー・スコットの全映画のフィルモグラフィがまとめ上げられている。これがまた貴重なものだ。

本書の巻末にあるフィルモグラフィ①
本書の巻末にあるフィルモグラフィ①
本書の巻末にあるフィルモグラフィ②
本書の巻末にあるフィルモグラフィ②
本書の巻末にあるフィルモグラフィ➂
本書の巻末にあるフィルモグラフィ➂

 

直近の「グラディエーターⅡ」を含めて全29本

何とか後もう1本作ってもらって、30本にしてほしいと願わずにいられないが、90歳近い老人には到底見えない人並み外れたバイタリティとエネルギーを身に付けているので、後1本といわず何本も作ってくれるかもしれない。そんな気もする。

その29本に1本として見劣りする作品はないが、その中でも特に傑作、名作と思われる作品を勝手に列挙してみる。

製作順に列挙してみたい。

全く凄いラインナップだ。舌を巻く。

リドリー・スコットの名作・傑作の数々

1.デュエリスト/決闘者 100分 1977年
2.エイリアン 117分 1979年
3.ブレードランナー 117分 1982年
4.ブラックレイン 125分 1989年
5.テルマ&ルイーズ 129分 1991年
6.1492 コロンブス 156分 1992年
7.グラディエーター 155分 2000年
8.ハンニバル 132分 2001年
9.ブラックホーク・ダウン 144分 2001年
10.マッチスティック・メン 116分 2003年
11.キングダム・オブ・ヘブン 144分 2005年
12.アメリカン・ギャングスタ― 158分 2007年
13.ワールド・オブ・ライズ 128分 2008年
14.プロメテウス 124分 2012年
15.オデッセイ 141分 2015年
16.エイリアン:コヴェナント 122分 2017年
17.最後の決闘裁判 153分 2021年
18.ハウス・オブ・グッチ 159分 2021年
19.ナポレオン 158分 2023年
20.グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声 148分 2024年

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ファン垂涎の凄い本を映画好きは見逃すな

これは本当に凄い本だ。中々これだけのものは書けないと思う。

豊富な写真も申し分なく、リドリー・スコットのファンでこの本を手元に置かないなんて考えられない垂涎の1冊だ。

そして、僕は強調したい。この貴重なリドリーの内容充実の解説書は、リドリー・スコットのファンならずとも、映画が好きな人、全ての映画ファンの座右の1冊にしていただきたいと願っている。

本書にはリドリー・スコットの作品に関連する周辺の映画に対する言及も豊富で、しかもそれらの映画の写真もふんだんに使われている。

そして何と言っても、リドリー・スコットは現在存命の映画監督の中では、世界最高の映画監督と言っていい存在である。まさにレジェンドだ。

リドリー・スコットを知ることは、ハリウッド映画に留まらず、現在の映画が到達した最前線を知ることに他ならない

全映画ファン必読の1冊だと確信してやまない。

映画を愛する人なら、どうかこの1冊をお手元に置いてほしい。

 

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3,630円(税込)。送料無料。


リドリー・スコットの全仕事 [ イアン・ネイサン ]

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