目 次
半年も前に植えた挿し木から葉っぱが出現!
本日(2023年4月15日・土)、せっかくの土曜日だというのに朝からずっと強い雨に見舞われている。天気予報によると終日降り続くようだ。首都圏だけではなく、この雨は日本全国で降り続いているらしい。
このところの週末の関心事は、とにかくシャクヤク。日ごとに成長を続けるシャクヤクは、特に開花が近づいてきたこの頃では1週間も経つと、すっかり様相が変わってしまうほど成長が著しい。
今日も非常に楽しみにしていたが、朝からの強い雨で、撮影が全くままならない。
前にも雨の日に撮影を決行したことがあり、雨に濡れたシャクヤクの蕾も凛とした姿も中々捨て難いのだが、今日のように強く降り続けるとさすがに撮影が困難だ。
そんな恨み言を吐きながら、傘をさして庭をうろうろしていると、思わぬものを発見して、思わず声を出してしまった。本当にビックリして、我が目を疑った。
これは一体どうしたことか。夢でも見ているのか。有り得ないものを見てしまった時の衝撃が、それだった。本当にビックリだ。
例の北側(玄関側)のシャクヤクの夕映の近くに、「あるもの」を見つけてしまったのだ。
昨年の10月、もう半年も前に植え付けたサルスベリの挿し木から、葉っぱが芽吹いていたのである!!
芽吹きの発見。その小さな緑色の葉っぱの美しいこと!!
思わず、涙が込み上げてくる程の感動。
もう枯れてしまったと、疾うに諦めていたものだった。
スポンサーリンク
サルスベリとはどんな木なのか
僕は、いわゆる花が好きというのとはちょっと違って、木に咲く花が好きなのである。
一番好きなものはもちろん藤。藤は最高の憧れで、あの美しさは別格。梅とか、桜とか。今の季節だと何と言っても花水木に心を奪われる。椿も山茶花も大好きだ。
そんな中でも特別に好きな花の咲く木は、サルスベリ。日本語では百日紅と呼ばれる夏に咲き続ける誰でも知っているあの木である。
このサルスベリは本当に変わったおかしな木で、幹がツルツルで、サルスベリというのは、もちろん「猿が滑る」の意だ。
年間を通じるとあまり花の多くない炎天下の暑い夏に3カ月以上に渡って咲き続ける貴重な花。百日紅は100日間咲き続けることから付けられた名称で、いずれも分かりやすくていい。
街路樹に用いられる例も非常に多いが、一般家庭でも広く植えられている。
サルスベリが非常に変わった変な木だというのは、家に植えてみると良く分かる。花は文字通り炎天下の中で3カ月以上、100日間咲くというのは大袈裟でも何でもない。
そして秋に入って漸く花が終わりを告げると、今度はその葉っぱが紅葉する。その色づいた葉っぱも落ちてしまうと、太いツルツルの幹から勢い良く伸びた裸の枝だけが残ることになる。花は種を付けた籾殻のようになり(花殻)、葉っぱを落とした枝は、枯れ木のように取り残されるのだが、ここから所有者は面倒くさい作業をしなければならなくなる。
その葉っぱを落とし、枯れ枝のようになった枝を全て、徹底的に伐採(剪定)しなければならない。
花の咲いた枝を全て太い幹の生え際からバッサリと切ってしまう必要があるのだ。
その後は、ツルツルの太い幹だけが残る。この作業はサルスベリを育てるに当たっての必須の工程となる。
勢い良く思い切って切れば切るほど、春にはまた勢いよく新芽が出て来ると言われているので、迷わずバサバサと切ってしまう。
我が家にも大きなサルスベリがある
僕はそんなサルスベリが大好きだったので、今の我が家を入手した際、玄関脇に大きなサルスベリを植えてもらった。
5本の幹が地面から分かれているちょっと変わったサルスベリで、形やその5本の幹の姿は気に入っている。
例の冬に行う剪定も毎年欠かさずやってきた。それは年中行事でいいのだが、この我が家のサルスベリには多少不満があった。
スポンサーリンク
サルスベリの様々な花の色と形状
サルスベリの100日間も咲き続ける花には様々な色がある。一番多いのはピンク色で、百日紅の「紅」はその意味だ。そのピンク色にも多彩なバリエーションがあって、一番分かりやすいのは色の濃さ。
一口にピンクといっても様々で、かなり濃いものから薄いものまでまさしく千差万別。
我が家のサルスベリのピンクはかなり薄い、非常に淡いもので、一時はこれも悪くないと思っていたが、真夏になって周辺で濃厚なピンク色で咲き誇るサルスベリを見ると、「うわあ、これは美しいなあ」、「どうしてうちのサルスベリはあんなに薄いんだろう」と、少し落ち込んでしまう。
正に「隣の花は赤い」を地でいっている。
それだけではなく、我が家のサルスベリは花がバラバラに少しだらしなく咲く感がある。
よそのサルスベリを見ると、花が全体として大きな塊となって密集してそれは見事に咲く。ラグビーのボールのようにずっしりとたっぷりと咲き誇る。
なのに、どうして我が家のサルスベリは、と不満を隠せない。
他にも真っ赤なサルスベリや、真っ白なサルスベリも良く見かけ、サルスベリの花の色のバリエーションは相当なものだ。
最高に美しいと心を奪われるのは紫色
そんな中で、僕が最も美しいと感じ、見る度に「うわあ、いいなあ」「美しいなあ」と心をときめかすのは、紫色のサルスベリ。僕は勝手に「ムラサキ・サルスベリ」と呼んでいる。
これはあまり見かけないが、たまに見つけると本当にきれいだなと、ワクワクしてしまう。
このムラサキ・サルスベリの写真が手元にないのである。都営住宅の庭の一隅にある僕のお気に入りも、写真に撮ったことはない。
ネットから引用しようとしたが、ここにもあまりパッとした写真がない。残念だ。
一応、ネットから拝借する。
その滅多にお目にかかれない特別に美しい「ムラサキ・サルスベリ」が我が家の近くにある。
都営住宅の庭の外れというか、公園の片隅のような所に咲いている大きなサルスベリ。それが見事な紫色のサルスベリなのである。
毎年、夏になると感嘆しながら、見惚れていた。
去年の秋に、突然思い立って、そのムラサキ・サルスベリを挿し木にしてみようと思い立った。
剪定した枝を庭に刺しておいたら、葉っぱが出てきた驚愕の体験
そう思い立ったのも理由があった。
秋も深くなって、サルスベリの全ての葉っぱが落葉して枝が裸になった後、冬場にその枝をバッサリと剪定する話しは上述のとおり。
その剪定した枝の何本かを、我が家の庭を徘徊する近所の猫の侵入対策として、庭の数カ所に適当に刺し込んでおいたら、その中の数本から葉っぱが出てきてビックリさせられたことがあった。
結果として挿し木をしたのと同じになったのだ。
我が家のあまりパッとしないサルスベリが増えても困るのだが、こんなことで簡単にサルスベリが根付くのなら、あの都営住宅の一隅に咲いているお気に入りのムラサキ・サルスベリも挿し木にできるんじゃないか、そう考えたわけだ。
スポンサーリンク
お気に入りの紫色のサルスベリの挿し木
そこで昨年の秋の週末に思い立って、「挿し木作戦の大決行」に至る。
去年の10月15日の土曜日だった。
この日は駅前でマイナンバーカードの手続きを済ませて、帰ってからの作業となったので、もう辺りは薄暗くなった夕方のことである。
都営住宅の敷地の片隅に植えられているムラサキ・サルスベリの巨木から、枝を数本拝借してくる。拝借と言っても、勝手に剪定ばさみで枝を何本か切ってもらってくるのである。
10月15日ともなればもうサルスベリの葉は全て落ちている。まさに枯れた状況の枝数本。巨木なので数十本、いや数百本もある中の、手の届く低い辺りに伸びている数本の枝を、失敬してくる。
とにかく大好きなムラサキ・サルスベリの我が家への移植だ。どうしても成功させたい。我が家であの素敵なムラサキ・サルスベリを根付かせたいの一心である。
ちょうど、この週末は女房が実家に帰省していて不在だったこともあって、周到に準備し、用意する。
と言って僕は園芸のド素人である。挿し木なんてもちろん過去に一度もやったことも、見たこともない。
だが、ド素人ではあっても、僕はかなりの凝り性なのである。あの素敵なムラサキ・サルスベリを我が家で育てたい、挿し木を成功させたいと、その時点でできることはやり尽くそうと、不十分ながらもやれることは全てやってみた。
そんな対応ができるのも、ネット社会のおかげである。スマホが何でも教えてくれる。どんな情報も気軽に集めることができるのだ。
「挿し木」で検索すれば何でも出てくる。驚いたのは「サルスベリの挿し木」でもヒットすること。それらを駆使して、色々と調べてみる。
挿し木に最も不適切な時期と判明したが
すると非常に残念なことが判明した。
サルスベリの挿し木をするには、10月という時期が極めて不適切な時期であることが分かった。
サルスベリの挿し木を行う時期は年間に2つのタイミングがあって、
①7月~8月中旬・・花が咲いている時期
②3月~4月・・・・新芽が芽生えてくる時期
僕がこの日、挿し木をしようと決行したのは、10月15日という正しく10月中旬のど真ん中。全くかすりもしない、言ってみれば最悪の時期。
う~んと頭を抱えてしまう。
だが、思い立ったその時にやらなければ、このままズルズルとタイミングを逸してしまいそう。
「思った時が吉日」。春まで待とうなんて気にはどうしてもなれなかった。
スポンサーリンク
時期外れでも根付いた実績あり
いくら挿し木に適さない時期とは言っても、我が家で剪定した枝を勝手に庭に刺し込んでおいたものに勝手に葉っぱが付いたのは、1月~2月の厳冬期だった。これも適切な時期とは全く被っていない。それでもちゃんと根付いたのだ。
ダメ元でやってみよう!と根っからのポジィティブな僕は、前向きに考えることにした。
周到な準備を進める
時期が悪いということなら、余計に周到な準備が必要と、自分でも驚くほど丁寧にやってみた。
切ってきた枝を、20㎝程に切ると、ちょうど10本の「挿し穂」が出来た。
それを、
先ずは「水揚げ」。
切り口をできるだけ斜めに切って、その10本の挿し穂を水の中に入れておく。花瓶を用意してその中に突っ込んでおくわけだ。これはもちろん、挿し穂を水に漬けることによって、十分に水分を与えておくためだ。
この水揚げがかなり重要な準備のようで、結局このために、僕のムラサキ・サルスベリの挿し木大作戦は2日間に渡る作業となった。
当時の日記が残っている。その日記から引用する。
2022年10月15日
「都営住宅の紫色のサルスベリの枝を切りに行く。周囲は既に暗くなっていた。剪定ばさみを持って行って、手の届く枝を4本ほど切って持ち帰った。
それを20センチほどに切って、更にカッターナイフを使って切り口を斜めに切って、水揚げをした。約10本作った。
ネットによると、サルスベリの挿し木は3~4月、7~8月とされていて、今は適切な時期ではないが、何とか付いてくれることを祈りたい。10本の挿し木の枝を作った。せめて2~3本くらい根付いてくれないだろうか。
明日の朝というか昼前に植え付けることにしたい」とある。
翌日の日記から。
2022年10月16日
「サルスベリの挿し木を実行。何でも鑑定団を見ている真っ最中だったので、午後の1:30頃だった。昨日水揚げしておいた枝を地面に挿した。全10本。
水揚げは昨夜の6時半からだったので、19時間も花瓶に入れておいたことになるが、果たしてちゃんと付くのだろうか」とある。
というわけで、僕が10本の挿し穂を19時間に渡って水揚げし、あらかじめ土地を掘り返し、肥料なども少し加えていた玄関側のこじんまりとしたスペースに10本の挿し穂を挿したのである。
その時の写真が残っていないのが、残念でならない。
狭いスペースであったが、十分に水を含んだと思われるムラサキ・サルスベリの挿し穂を10本、少し斜めにしてきれいに挿し木にした。
後は徹底的な水遣り。
こうして2日間に渡ったムラサキ・サルスベリの挿し木作戦はとりあえず、無事に終了した。
ネットによれば、根付いたなら2~3週間で芽吹きがあるとのだった。
ちなみに、シャクヤク栽培の写真観察日記で再三触れている、昨年秋に植えたばかりのサラベルナールを植え付けたのも、同じ日なのである。
10本のムラサキ・サルスベリの挿し木を挿した後、続けてサラベルナールをシャクヤク畑に植え付けたという次第。
スポンサーリンク
待てど暮らせど一向に芽吹きはなかった
後は、ひたすら待つだけだった。「待てば海路の日和あり」。
おとなしくただひたすら待つことにした。2~3週間もすれば芽吹きがあるということなので、先ずは2週間。次に1カ月か。
こうして地面に突き刺した一見枯れたように見える茶色の枝から、新しい芽吹きをひたすら待つのだが、2週間待っても、何も起きない。
更に1カ月待っても、全く新芽が芽吹くことはなく、刺されたままの枯れ枝のままで、何の動きもない。
2カ月待つと12月の半ば、こんな冬に芽が生えてくるのかと不安に駆られながらも、とにかく待ち続ける。
こうして季節は完全に冬となり、年が明けても全くそのままだった。
もうその段階で諦めた。10月に挿し木を行ってから4カ月も5カ月も経っても、芽吹きの気配は全くない。3月になって、シャクヤクの真っ赤な芽が次々に地表に顔を出すようになっても、相変わらず何もなかったのだ。
スポンサーリンク
もう枯れたものと、とっくに諦めていた
こんな言い方は正確ではない。その後も葉っぱの芽吹きを待ち続け、観察を続けていたわけではない。
遅くとも年明けの時点で完全に諦めていた。
それなりに周到に準備したが、やっぱり時期がまずかったのだろう。
こうして残念ながら10月のムラサキ・サルスベリの挿し木大作戦は完全に失敗に終わった。
だが、これでお終いじゃない。気がつけば3月、更に4月となり、いよいよサルスベリの挿し木に適したシーズンの到来だ。
そう思って、完全にあきらめ、実は、3月の下旬にもう一本、都営住宅から枝を切ってきて、シャクヤク畑に挿しておいた。
今度はかなり手を抜いて、挿し穂に切った後、水揚げを一切せずに、そのまま4~5本、無造作に刺しておいた。
僕のシャクヤク畑の写真を良く見てもらうと、シャクヤクの枝とは別に何か棒のようなものが数本、畑に刺してあるのを確認できるが、それが新しい挿し木である。
「挿し木に適さない時期に十分に水揚げした方が根付くか、それとも水揚げはしないが、挿し木に相応しい時期に地面に突き刺した方が根付くのか」それを確かめてみたかったのだ。
いずれにしても、10月に刺した10本の揷し木は完全に諦め、邪魔になるだけなので、近日中に全て抜き去って廃棄するつもりだった。
スポンサーリンク
本当に感動的な半年後の挿し木からの芽吹き
その矢先に、あの芽吹きを突然、発見したという次第。
発見したのは、4月15日。奇しくも揷し木を挿して、ちょうど半年後。
本当にビックリした。目を疑った。ちょうど半年後である。こんなことがあるのだ。
しかも2本だけ。10本挿して、2本だけから目に飛び込んでくる鮮明な緑色の葉っぱが出てきた。感動的な芽吹き。
不思議な話で、同じ日に同じように水揚げを十分にして、同じスペースに10本挿したのに、その中の2本だけが芽吹き、他の8本には全く芽吹きの気配は見られない。
どう見ても、これから先、緑色の小さな葉っぱが芽吹いてくるとは思えない。
挿し木に全く適さない時期に挿した10本のムラサキ・サルスベリの挿し木。根付くことを全く諦めていたのだが、ちょうど半年経って、突然出現した芽吹きに感動と衝撃が収まらない。
枯れてしまったようにしか見えない茶色い枝から、目を奪われるビックリするほどの新鮮な緑色の小さな葉っぱ。思わず衝撃を受ける。
そのあまりの美しさと小さなそれでいて強靭な生命力の発露。思わず立ち尽し、見惚れてしまう。
これほど感動的な心が揺さぶられる体験は、そうはない。
この小さな芽吹きが今後どう成長していくのか。しばらく見守っていきたい。