目 次
「せんそうしない」の感動がまた広がった
谷川俊太郎の詩に江頭路子さんが絵を描いた絵本「せんそうしない」。
僕はこの絵本について2本の記事を配信してきた。
先ずは、友人M子さんからこの絵本のことを教えてもらって直ぐに読んで深い感動を受け、紹介させていただいたのが全ての皮切り。
続いて、作者のお一人である絵本作家の江頭路子さんとのメールのやり取りがあり、そこで貴重な制作秘話を教えていただいて、披露させていただいた記事の2本だった。
今回は、実際にこの絵本を読んでくれた子供たちのレポートだ。
こうして「せんそうしない」の感動がつながっていくのは嬉しい。
しかも制作秘話として紹介した「絵を描いた江頭路子さんのこの絵本に込めた想い」が、ちゃんと確実に子供たちに伝わっていることを知ることができて、これは嬉しかった。
作者の江頭さんにも知っていただきたいと、3本目の記事を配信することにした。
子供たちが実際に絵本を読んだ現場から、感動をお伝えしたい。
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最初に教えてくれたM子さんの読み聞かせ
最初に「せんそうしない」の絵本を僕に教えてくれたのは、僕が静岡県の三島市在住時代に地元のFM局の「ボイスキュー」でパーソナリティを務めていた知る人ぞ知る「三島の歌姫にしてアイドル的な存在」でもあったM子さん。
実はそのM子さんと組んで、僕自身もクラシック音楽を紹介する番組のパーソナリティを務めていて、一緒に楽しい時間を過ごした仲である。
現在は子育てもあって、ボイスキューを離れているが、子育てをしながら子供への絵本の読み聞かせなどの活動にも積極的に関わっている。
読者からの情報提供が次の記事にリレー
前にも書いたが、M子さんがこの絵本を僕に教えてくれたきっかけは、合唱曲作曲家の信長貴富の朝日新聞に掲載された記事が始まりだった。
信長貴富が自身が作曲した「初心のうた」という戦争に反対する合唱作品を作曲したが、これを歌っても戦争はなくならない、これを歌う意味はどこにある?という合唱団員からからの素朴な疑問にい答えた感銘深い新聞記事だった。
この朝日新聞の記事を写真に撮って送ってきてくれた(僕は現在、新聞購読していない)のも、僕の高校時代の後輩(2つ後輩だが、今では親友みたいな存在)で、僕のブログの読者の一人である。
その信長貴富の新聞記事を「熱々たけちゃんブログ」で取り上げたところ、M子さんから『「せんそうしない」を思い出した』との感想を送ってきてくれて、僕が直ぐに「せんそうしない」を購入したことが、今日に繋がっているわけである。
僕のブログ記事を読んでくれた読者からの感想が、次々と次のブログ記事に繋がっていく展開が、何とも嬉しい。ブロガーとしてこれ以上の喜びはない。
今回の記事は、また「せんそうしない」を教えてくれたM子さんのお話しだ。
M子さんが実際に「せんそうしない」を子供たちに読み聞かせたところ、子供たちからどんな反応があったのか、興味尽きない現場レポートである。
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M子さんの読み聞かせ会は
M子さんが関わっている読み聞かせ会の詳細はあまり分からない。M子さんご自身も昨年から加わったとのことで、歴史や全体像については不明である。
年間10回程度開催されているということなので、およそ月に1回くらいの頻度で行われているのだろう。
かなり歴史のある読み聞かせ会のようだ。読み聞かせを担当する保護者や地域の方などはそれなりにいるようだが、毎回参加されている方は15人くらいだという。
教室ごとに集まってくる児童の数は20人~35人くらい。読み聞かせの時間は前後の挨拶と本を読む時間を合わせ約10〜15分程度のようだ。
読み聞かせ会の実際の雰囲気
教室にいくと、ほとんどの場合はお当番さんの子供が「おはようございます」「よろしくお願いします」と呼びかけ、みんなが後に続いて異口同音に挨拶するところから始まる。
机や椅子は後方に下げてあって、子どもたちは教室の前方に集まって、膝を抱えて床に座って聞く。
読み聞かせが終わった後は、子供たちが自然に感想を言ってくれたらそのまま語り合いになるし、特に子供の方から声が出てこなかったら読み手の大人の方から聞くこともあるようだ。
M子さんは元々FMのパーソナリティで活躍をされた方だが、ラジオの番組生放送と同様、この読み聞かせ会は嬉しい時間になっているという。
ちょっといい話しである。
読み聞かせ会での「せんそうしない」
M子さんが読み手を担当して実際に「せんそうしない」を子供たちに読んで聞かせたのは、9月のことだった。
読み手にはメインとサブがいるようで、当日のM子さんはサブだったので出番がないかもしれなかったが、3年生に読み聞かせることができた。
子供たちは約30人ほど集まり、男女ほぼ同数だったようだ。
M子さんは自分が読み聞かせることができて良かったと振り返る。
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江頭さんの判断は間違っていなかった!
この読み聞かせ会のレポートで、かなり衝撃を受けるのは、M子さんが読み終えた途端に、ある男の子が声を上げたという一言だ。
「一枚だけ写真があった!」
そう。例のあの戦争跡の瓦礫の絵に男の子が反応した瞬間だった。
この男の子が声を上げた後のM子さんの対応が出色だった。
「写真に見えたかな?そう思えたかもしれないけれど、あれは絵なんですよ。」
「しかも作者のたにかわしゅんたろうさんは絵の担当者のえがしらみちこさんに、写真で悲惨さを伝えたいと要望があったのだけど、えがしらさんが子供たちに衝撃を与えたくないので、絵で伝えたいという強い願いを話して了解が得られた結果が、こちらの絵なんですよ」
という裏話(制作秘話)を伝えることができました、と報告してきてくれた。
すると、「確かに写真があったらびっくりする」とみんなも同意見を言ってくれたという。
インパクトが強すぎず、この絵だけでも十分に幸せな光景との違いが良く伝わって来るよね、と話し合うことができましたので、嬉しくなりました。
こう報告して来てくれた。
敢えて谷川俊太郎さんの意向に反してまで、江頭さんと絵本編集者が良かれと信じて進めた思いが報われた瞬間だ。
こんな実際の子供たちに読んで聞かせて、その後の感想を語り合う場面で、絵本作家の江頭さんの思いが通じたことを確認できたことは、本当に嬉しい。
いい話しだなと感動させられた。
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あらためて瓦礫の絵を見ていただくと
読み聞かせの直後に、小学校3年生の男の子が直ぐに反応した瓦礫の絵をあらためて見てもらう。
実は、僕自身が非常に大切な点を見過ごしていたのである。
非常に重要な点を見過ごしていた!
この瓦礫の絵が、写真を望んだ谷川俊太郎さんと、子供たちへの衝撃を危惧して絵で描きたいと考え、何度も描き直したという江頭さんの知られざる制作秘話に心が奪われ過ぎて、大きな見過ごしに気が付いていなかった。漸く今回、僕自身の大失敗に気が付いたのである。
これには大いに反省させられた。全然気づいていなかった。
「もしかしたら」と思って、先日あらためて確認したところ、ドンピシャリ、思ったとおりだった。
こんなことは決して自慢にはならない。一読したときから気が付いていなければならなかったことだ。
「1分で読めるが、記憶は一生」などと言って、1分で読める部分を軽視していたきらいがある。江頭さんにも大変に失礼なことをしていいたと深く反省した次第。
瓦礫の絵の前に全く同じ街並みが!
というのは、あの瓦礫の絵の前ページには、戦争によって瓦礫になる前の平和時の同じ街並みが描かれていたのだった。
つまり前ページにある子供たちが遊ぶ何時もどおりの道路と街並みが、ページを捲った次の瞬間に戦火によって瓦礫化してしまう光景が描かれていたのである。
戦争による普通のありふれた幸福な街並みがいかに破壊されて、瓦礫になってしまうのか、そのビフォーアフターが描かれていたのである。
こんな重要な点に気付いていなかった僕の目は、全く節穴だった。忸怩たる思いである。
江頭さんは非常に正確に、同じ街並みが瓦礫になってしまった悲惨さを、良く伝えている。これはあらためて衝撃的な1枚(2ページ)、というか前後を含めて2枚(4ページ)である。
百聞は一見に如かず。実際にこのページを見ていただこう。
構図、実際の奥の建物、ビルなど、全て一緒である。右手手前の民家は全て瓦礫となってしまっている。奥のビルも全て廃墟と化している。
あらためて戦争の恐ろしさが痛いほど伝わってくる。
この絵のインパクトが、子供たちには理想的に伝わったようだ。
写真では衝撃的過ぎるのだが、このビフォーアフターの絵でも戦争の悲惨さは十分に伝わってきて、かつ子供がトラウマになるような衝撃性からは逃れて、ギリギリのところで踏みとどまっている。
このバランスには大変な苦労があっただろうと推察できる。
それでも今回の子供たちの反応を聞くと、その苦労は報われた。
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子供たちの嬉しい反応が他にも
M子さんは、こう語っている。
小学校3年生は低学年よりも高学年になる前の中学年。しっかりと話しを聞けるし、意見も感想も言えるとして、いくつかの嬉しい意見や感想を寄せてもらっている。
谷川さんも江頭さんの絵も知っていた
読み聞かせ会で、最初に谷川俊太郎さんの名前を読んだときに、「あっ!」と皆で知っているという顔をしてくれて、絵を描いたのは江頭路子さんと表紙の絵を見せた時のことをこう伝える。
「江頭さんの他の絵本は手にしたことあるよね?」「この優しい絵のタッチ分かるよね?」と聞くと、「見たことある」と頷いていたという。
ひまわり畑にも触れてくれた
M子さんが「ひまわり畑」の絵を見てもらうと、ロシアによるウクライナへの侵略戦争がまだ終わらないことも理解して、頷いていたという。
戦争を絶対にしてはいけないと話し合う
読み聞かせ後、M子さんはこんなことを子供たちに語りかけ、話し合った。
「皆さんも絵のような楽しい夏休みに、川や海に行ったかな?」
戦争は絶対にしてはいけない。喧嘩は時にはしてしまうかもしれないけれど、大きな戦いもコトの始まりは小さな意見の違いから。大きなコトにならないように、できるだけ小さなうちに解決しよう。
こんな話し合いになったという。
この「戦争を絶対にしてはいけない」ということを確認し合うことが一番大切であることは言うまでもない。
しかも次世代を担う小さな子供たちがそんな気持ちになってくれることが最も重要で、こんなある意味で非常に些細な読書会(読み聞かせ会)から、少しでもその決意が広がっていってくれることを願うばかりだ。
谷川俊太郎さんと江頭路子さんのこの1冊の絵本に込めた思いに、少しでも近づけることができれば・・・。
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「せんそうしない」を読んでくれる僕の周辺
僕の周りには、僕の2本の「せんそうしない」のブログを読んで、実際にこの絵本を購入してくれた方が何人もいる。
その方々から子供たちの様子などが届いているので、併せて紹介させていただこう。
次女に毎晩読み聞かせる仙台の友人
仙台に在住の若い友人が、僕のブログを読んで直ぐに「せんそうしない」を購入して、子供たちに読み聞かせてくれている。
特に次女がこの絵本を気に入って、毎晩読み聞かせているという。「せんそうしない」の絵本を掲げたかわいい次女の写真も送ってきてくれた。
更にその後、次女からは一緒に寝るときは必ず読んでとせがまれ、次女自身でも読むようになったという嬉しい報告が届いた。
瓦礫の絵では「壊れちゃう」と言うので、「こうならないようにしようね」と言っているとのことだ。
友人は江頭さんが谷川俊太郎さんの意向に反して瓦礫を絵で描いたことは本当にスゴイですよねと感嘆し、制作秘話を聞けたことを喜んでくれた。
友人にも勧めてくれた合唱団の仲間
都内に在住の合唱団の仲間が、直ぐに購入してくれて、旦那さんがフランス人という職場の同室の方にも「せんそうしない」を伝えたところ、早速購入し、2人の子供に読ませてくれたという。
その方は、「すごいですね!制作秘話」と伝えてきてくれて、僕のブログを丁寧に読んでくれたようだ。
こうやって感動の輪が広がっていくことは、嬉しい限り。
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「せんそうしない」を是非とも読んでほしい
あらためて読者にお願いしたい。
まだ実際に江頭さんが絵を描いた「せんそうしない」の絵本を読んだことがないという方に、是非とも読んでいただきたいこと。
そして小さなお子さんがいらっしゃる方に、この絵本を読み聞かせていただきたいこと。
繰り返すが、「1分で読めるが、記憶は一生」という貴重な絵本である。どうかこの感動を一人でも多くの方に共有していただきたいと切に希望するものだ。
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