目 次
山梨県で満喫した果樹の花の美しさ
シャクヤクを愛してやまない僕は、実は花好き、園芸好きというよりは、庭に咲く花ではなくて木に咲く花が好きなのである。だから厳密には花好きとは言えないのかもしれない。
シャクヤクは例外で、本来は木に咲く花が大好き。サルスベリ(百日紅)のことは前にも書いたが、木に咲く花、というよりも花の咲く木には、好きなものが多い。
桜はあまり好きではない。もちろん嫌いなわけはないが、あの花そのものを美しいと思ったことはあまりないし、そもそもあまりにも早く散り過ぎるので、好きになれない。
梅の方がよっぽど好きだ。
「桃の花」の美しさは別格
似た類の花としては何といっても桃の花。これに過ぎるものはない。
「桃源郷」とはよく言ったもので、桃の花の美しさに接した者には、あれ以上美しい花、感動的で胸がときめく花は他にはないと断言できる。
僕は山梨県の田舎に3年間程住んでおり、その時に、桃の花の美しさを存分に思い知らされた。あの濃いピンクの花があたり一帯に咲き誇る姿は本当にこの世のものとも思われない美しさ。まるで夢の中で見ているような幻想的な美しさで、心がときめいてしまう。
山梨県では、その他にもスモモの花が、ほのかな緑色の花を咲かせてこれまた何とも言えない美しさであった。
梅から始まって、桜が咲き、次に桃の花、最後にスモモの薄緑色の花と、山梨県では木に咲く花の美しさを心から満喫させてもらった。
スポンサーリンク
何といっても「藤の花」が一番
最も好きな木に咲く花は「藤の花」。フジは本当に美しく、これ以上魅力的な花は他に知らない。
但し、僕は人工的に作られた藤棚に咲く姿は、美しいとは思っても、それほど心を動かされることはない。あの藤棚というものは、やっぱり人間が人工的に作り上げたものだ。
ああいう人の手が入ったものは好まない。
僕は、普通に立っている藤の木に咲いているフジの花房を愛してやまない。普通に植えてあるフジの木から自然に見事なフジの花房が垂れ下がっている姿を見つけると、思わず立ち止まって見惚れてしまう。
我が家の庭でも何とか育ててみたいと何度もトライしてみたが、どうしてもうまくいかない。中々あのかわいらしい蕾をつけてくれずに、立ち枯れになってしまう。
最近は「花水木」に心を奪われる
最近、特に心を奪われるのがハナミズキ(花水木)である。桜が終わった後で、街路樹としてあの緑色の清楚な花が咲き始める時の高揚感というか、新鮮な驚きにはいつも感動させられる。
あまり自己主張が強くなく、ひっそりとした清楚な趣が何とも言えない。その清潔な控えめな美しさと雪のような純白の中から浮かび上がる薄緑色のコントラストが、いかにも初々しく清潔感が際立っている。
あのハナミズキが秋になるときれいに紅葉することを、最近知った。小さな赤い実を付けるのも何とも愛らしく、本当にハナミズキには魅了させられる。
スポンサーリンク
サザンカ(山茶花)が昔から大好きだった
さて、前置きが非常に長くなった。今回取り上げたかった木に咲く花は、「サザンカ(山茶花)」だったのだ。
このサザンカも僕の大好きな花で、昔からずっとサザンカに心をときめかしてきた。冬に咲き誇る実に珍しい貴重な花だ。
サザンカ(山茶花)はあらためて言うまでもなく、ツバキ(椿)と非常に良く似ている。
この類似は、シャクヤクとボタンとの関係に近い。僕はボタンよりもシャクヤクの方がずっと好きで、同じようにツバキよりもサザンカの方がずっと好きなのだ。
堂々とした立派なものよりも、少し弱々しくて華奢なものの方が好きなのかもしれない。
生垣として植えてある我が家のサザンカ
我が家には南側のアパートとの境に、生垣としてサザンカを植栽している。18本あったのだが、一番東端の一本が枯れてしまったので、現在は17本が植えられている。
その枯れてしまったサザンカを抜いた後の空き地が、今の南側の「シャクヤク畑」となっている。
その我が家のサザンカが、今年の冬は例年になく大量に咲き誇ってくれたので、レポートしたい。
このサザンカを生垣として植栽したのがいつ頃だったのか、明確に覚えていない。
元々この場所には花も何も咲かない名前も分からない雑木の類が植えられていて、その雑木が上にばかり葉っぱが茂り、いつも下の部分がカスカスになって、生垣としても機能していないこともあって、約15年程前に、思い切って全て伐採して、その後にサザンカを18本まとめて植栽した。
その際、同じ品種のサザンカで統一させるのではなく、色々な種類を混ぜて植えてもらったのだが、これが良かったのかどうかは、今でも判断がつきかねている。
花の大きさも咲く時期も異なる3種類ほどのサザンカが植えてあることになるのだが、これが実は少々微妙ではある。
スポンサーリンク
我が家に植えられている3種類のサザンカ
ツバキほどでもないまでも、サザンカにも数えきれないほどの品種があって、その名前も地域によって呼び方が異なっていたりと、サザンカの品種を特定することは中々困難だ。
だが、同じサザンカとは言っても、我が家の3種類は色々な意味で本当に大きな違いがある。それは花の大きさや形状だけではなく、木そのものが随分と異なっている。
かなりの大輪を咲かせる木が3本あって、これは花そのものも大きくて豪華だが、木そのものも非常にがっしりしており、葉っぱも厚くて大きい。色も実に濃い深い緑色だ。
その他には、秋から冬になるとあっちこっちで木そのものが真っ赤になってしまうほど、驚くほどの花を咲かせるどこでも見かける典型的なサザンカだ。これも2つの微妙な違いがあるが、それほど大きな違いはない。
したがって3種類と言いながらも、大きく分けると2種類といっても構わない。
今年の冬は、この大輪を咲かせる厚くて大きくて、濃い緑色の葉っぱをつけている3本の木に、例年にないほどのたくさんの蕾が付いて、それが今、一斉に咲き始めた。
木全体が真っ赤な花で包み込まれるサザンカ
サザンカという花は、蕾が付くときは、とにかくうじゃうじゃと付いて、それらが一斉に開花する。よく冬場に戸外を歩いていると、サザンカの樹全体が真っ赤な花で埋め尽くされてしまうような光景を目にする経験を、誰もが何度か有しているのではないだろうか。
樹の幹があって、サザンカは常緑種なので、緑色の葉っぱが茂っているはずなのだが、数え切れないほどの蕾が一斉に開花すると、緑の葉っぱをピンクの花が完全に覆い尽くして、樹全体が開花した花で覆われて真っ赤っかになることが多い。
サザンカの狂い咲きと呼んでしまいたくなるほどだ。
そんな開花状況を目撃すると、サザンカの花の勢いは凄まじいものだなと呆気にとられて目を釘付けにされ、感嘆してしまうのが冬の風物詩ともなっていた。
スポンサーリンク
サザンカ最大の難点は「茶毒蛾」の存在
この素敵なサザンカには、大変な難点、嫌な点が一つある。ツバキも一緒なのだが、害虫の「チャドクガ(茶毒蛾)」の存在だ。
チャドクガとここで文字を入力するのも嫌になるくらい、このチャドクガというのは非常に厄介な存在だ。「知る人ぞ知る」、これだけ厄介な害虫は他に思い浮かべることができない。
逆に言えば、最強のモンスター害虫である。正体は蛾に過ぎないのだが、困るのはその幼虫である毛虫。これが時に、サザンカやツバキの葉っぱに大発生し、葉を食い散らし、そこで蛹となって、やがて蛾となるのだが、この幼虫の毛虫が史上最強のウルトラモンスター。あれだけ始末に負えない毛虫は地球上にいないのではないかと呪いたくなってしまう。
どれだけ恐ろしくて厄介か
小さな毛虫は群れを作って大量発生し(成虫の蛾が葉っぱにビッシリと卵を産み付けるわけだ)、その体を覆っている毛に触れるとめちゃくちゃ痒い。直接触らなくても、近くに寄るだけで肌に刺さってくる。どうやら毒毛が空中を浮揚しているらしい。
刺されるというか近づくと、腕全体が真っ赤に晴れ上がり、耐えられないほど痒い。洗っても落ちない。むしろこすると皮膚の中に毒毛が入り込んでしまう。ガムテープか何かで取り除くしかないのだが、もう既に手遅れ。対応不能。
では、その毛虫を見つけたら処分すれば良いのではと誰でも思うのだが、これが容易なことではない。密集した毛虫を処分しようとその付いた葉っぱを取り除こうと、少しでも葉っぱを動かすと、毛虫が一斉に頭をもたげて、ポロポロと下に落ちる。下に落ちてしまったらもうおしまい。庭中に毒毛が拡散されてしまう。どうにもならない昆虫界の最強のモンスターである。蛹の抜け殻にも毒毛が残っており、始末におけない。
小中学校の庭にはツバキが植栽されていることが多く、よくそのあたりを子供が歩いただけでかぶれるということが知られているが、これはもちろんチャドクガのせいである。
こんな厄介な害虫が付くなら、サザンカやツバキなんか植えなければいいじゃないかと思われて当然なのだが、実はチャドクガは毎年付くわけではなく、普段はほとんど発生することもない。
ところが数年に一度、大量発生することがあって、そのときに苦しめられるのである。
このチャドクガの恐ろしさと気味の悪さはネットなどで写真で見てもらえれば一目瞭然で、ここで掲載できなくもないが、あまりにもゾッとする姿であり、背筋が凍り付いて、吐き気をも催すので止めておく。
「怖いものを見たい人」は各自でググって。震え上がるものがいくらでも出てくる。
遂に最強の毛虫退治が登場
最近、漸く最強の武器が登場した。毛虫退治のための最強の殺虫剤が金鳥から出た。
それは殺虫剤のような噴霧器でセメダインのような接着液を吹きかけ、丸々チャドクガの幼虫を固めてしまうという優れもの。固まる前に動き出してポロポロと落ちてしまうのではないかと心配したが大丈夫。毛虫の動きよりもセメダインの固める力の方が早い。
全体を固めてしまうので、毒毛が飛来することも防げるのだ。実際に何度か試してみたが、失敗したことはない。これは素晴らしい。
この優れものは写真で紹介しておく。その際、チャドクガのイラストが出てくるが、これは耐えてほしい。
「こうして人類はチャドクガを克服した」と言ってみたくなるほどの最強のアイテムとなった。実に画期的な発想で、本当に良くぞ考案したものだと大絶賛したい。
スポンサーリンク
見事に咲いた我が家の大輪のサザンカ
チャドクガに苦しめられることがあっても、僕はあの真冬に咲き誇るサザンカに強く憧れたものだが、我が家のサザンカは未だかつてそこまで咲き誇ったことはない。
例の大輪のサザンカは、品種としてもそこまで狂い咲きをすることはないような気がする。
とにかく1輪当たりの花が非常に大きいため、それらの花が重なり合うとぐちゃぐちゃになってしまう。この花の特徴は1輪あたりの花の容積は大きいのだが、一重の花であり、花びらは大きいだけに、非常に薄く弱々しい。すぐに萎れてきてしまうのが難点なのだ。
樹全体に花が覆い尽くされるように咲くと、花弁が重なり合ってというよりもぶつかり合って、それは見栄えの悪いものになるだろう。
実は、今年の我が家のこの品種の咲き方が、それに近いのである。非常に密に咲いていて、花と花とが重なり合ってしまう。これがギリギリラインである。
写真で見てもらおう
こんな感じである。見事なまでに立派な大きな花なのだが、花びらの一枚、一枚が薄くて、直ぐに萎れてきてしまう。これが非常に残念だ。
そんな大きいが弱い花びらを持った花が、たくさん一斉に開花すると、こんな感じになってしまうのだ。
一見非常に豪華ではあるが、あまり美しくはない。いかがだろうか。
スポンサーリンク
他の品種はこれから開花を迎える
他のつの品種は、どこにでもある典型的なサザンカ。1輪あたりの花の大きさは小振りだが、花びらは多弁であり、その花びらが直ぐに萎れてくるようなこともない。
これはこれで素晴らしく、僕の好みではこっちの方が好きかもしれない。僕はシャクヤクでもそうなのだが。花びらがギッシリと詰まった多弁の花が大好きなのだ。
一般的にはこちらの小さな花の方がたくさん咲きそうなのだが、今年は珍しい逆転現象。
あの大輪のサザンカがこんなに咲くことが滅多にないことなのだ。
シャクヤクの芽が出るまでの貴重な繋ぎ
冬の間はサザンカで花の美しさを味わい、そのサザンカは2月には全て散ってしまう。そうなった直後には、いよいよシャクヤクがあの真っ赤な芽を出し始めることになる。
そういう意味ではサザンカはシャクヤクの芽が出現するまでの、極めて貴重な繋ぎの役割を果たしてくれるかけがえのない花なのである。
そもそも真冬に咲いてくれる花なんて、こんなに願ってもない希少な花はない。健気な花に本当に感謝したくなる。