これが自宅の隔離部屋から覗いた外の風景。燃えるような夕焼けに心が締め付けられた。

隔離部屋から眺めた夕焼けの写真
隔離部屋から外を覗き込むとすごい夕焼けが飛び込んできた。胸が締め付けられた。

微熱が収まらず不安に怯える

ところが日増しに体調が戻ってきて、快復を実感する中で、気がかりなことが出てきた。

熱についてだった。僕は隔離期間中、ずっと体温測定だけは欠かさず続けていたのだが、今回の発熱の最高体温である37.7になるようなことは、その後は全くなく、処方された解熱剤も39度近い高熱が出たとき用の頓服剤だからということで、実は一度も飲むことはなかったのである。

それでも確実に熱は下がり始めたのだが、一定の高さまで下りた後、その後は平熱まで下がることがない。

つまり微熱が中々引いてくれない。これが非常に気になるようになった。

9月5日(火)の午後1時の段階で一旦は、36.1となり、夜の6時には36.0にまで下がった。これでもう完全復活と安心したのだが、翌日の6日の水曜日に朝も昼も36.8を記録。更に7日の木曜日になっても朝から36.6。夜の10時には36.8のまま下がらない。

これにはまいった。37度近い微熱がずっと続くのである。

普通は37度以下であれば熱があるとの評価もないのだろうが、元々平熱が低く、しかも一旦は36度まで下がった身としては、非常に不安でならない。

これは隔離期間の延長があるのではないか、と非常に心配となり、不安になってくる。

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復帰目前に突然の味覚障害に襲われ激しく狼狽

そんな中で、衝撃的なことが起きた。

突然、料理の味が分からなくなってしまったのだ。それが起きたのは7日の木曜日の昼食を食べた時のことだった。お昼に女房が温かい天ぷらうどんを作ってくれたのだが、この天ぷらうどんの味が全く分からない

そう、味覚障害に突然襲われたのだ。

鼻が詰まっていて、嗅覚も味覚も感じないというのとは明らかに違う。とにかく味がどうしても分からないのである。これは衝撃だった。

コロナの発症時から味覚障害が起きていたのなら、それはそれでコロナの典型的な症状として受け入れることもできただろう。

僕の場合はそうでなくて、発症時からこの直前まで、具体的には7日の朝食の味はいつもどおりだったのだ。

高熱があったときも食べ物の味は普通に分かったのである。

それが6日目にして突然の味覚障害。これには本当に狼狽させられた。

病院の感染対策室に問い合わせる

この突然の味覚障害が起きたのと、微熱が中々下がらないのは同じタイミングだった。発症して6日目、そろそろ隔離も解除してもいいだろうという治る直前のことだった。

6日間おとなしく過ごし、ようやく隔離から解放されるというこのタイミングになって、突然の味覚障害と微熱が収まらないこと

これは快復するどころかむしろ悪化しているのではないかと不安でならなくなった。

コロナの副作用として味覚障害が続くことがあることも聞いていた。職場にも味覚障害が中々治らない職員もいた。だが、それらの人たちは最初から味覚障害があって、それがいつまでも治らずに続いたのではないか、「副作用」が新たに発症するなんてことがあるんだろうか?どうしても理解できないのである。

そこで、病院の完全対策室にLINEで質問をした。

僕の質問の趣旨はこういうことだ。

「感染してからずっと問題がなくて、もうすぐ隔離解除というタイミングになってから、新たに症状が追加になるなんてことがあるんだろうか」ということに尽きた。

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感染対策室からの回答

まず、発熱につきましては、確かに平熱よりも高く微熱が続いているという状態かと思いますが、COVID-19による明らかな症状としての発熱という数値ではないとということで、隔離解除基準も満たすと考えられるとのことです。
次に味覚障害につきましては、COVID-19療養期間中(現在ならば7日間)に症状が変化したり、新たな症状が現れたりすることは、実際の症例でも認められており、必ずしも悪化しているというものではないとのことです」

との明確な回答をいただき、何とかホッとしたのだった。

「病は気から」とはよく言ったものである。この病院の見解を聞いて、僕はすっかり安心して、思い悩むことは止めた。症状があっても、悪化しているのでないのなら、良しとしようと言い聞かせた。

味覚障害は、おもしろいもので冷たいものの方が感じられることが判明した。ゼリーやアイスクリームの味は先に戻ってきて、数日後には温かいものも分かるようになった。実質的に味覚障害が続いたのは2日間程度、隔離を解除した土曜日にの夜からはほとんど元に戻った。

それとほぼ時期を一にして、微熱の方もすっかりなくなったのである。

こうして、僕は土曜日に普段の生活に戻ることができた。

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復帰した後で、飛蚊症の悪化が判明

こうして隔離期間を無事に終了し、9.11の月曜日から職場に復帰したのだが、何となく違和感に見舞われていた。あまりハッキリとしていなかったのだが、何か変なのだ。いつもと何かが違う。

その正体が漸く分かった。飛蚊症がかなり悪化していたのである。

僕と飛蚊症との付き合いは

僕と「飛蚊症」の付き合いはかなり長い。

20代後半頃から、僕は飛蚊症に悩まされ、一時はノイローゼになりそうになった。

数カ所の眼科にも受診するが、「治療方法はない。慣れてもらうしかない」ということで、できるだけ気にしないようにして、騙しだましこの40年近くを飛蚊症と付き合ってきた。

特段悪化することもなかったので、さすがに慣れてきて普段は特段気にならなくなっていた

どのように悪化したのか

ところが、コロナに感染し、隔離期間も過ぎて、復帰する段になって、何と飛蚊症がかなり悪化していることに気が付いた。かなりひどくなっている!

ショックだった。

いわゆる「飛蚊」が無色透明のゴミのような感じだったのが、一つ一つのゴミは小さくなったのだが、数が圧倒的に増えた感じがして、しかもその中には黒っぽいものが混じっている

白い壁やテーブルなどを見ると大変。
黒っぽい粒が視界の中のあっちこっちに出現するのだ。ゴマ粒のようなものが視界の中に一面に広がるのは衝撃だった。

今まで「黒い飛蚊(ゴミ)」はなかったのだ。それがコロナ感染後、粒は小さいとはいうものの黒いものが出現するようになってしまった。気になって仕方がない。

心配になってネットで調べると、コロナの後遺症として飛蚊症の悪化というのが散見された。

やっぱりそういうケースが存在することが判明した。

しばらく様子を見て、あまりにも気になるようなら眼科を受診しようと考えているところだ。全く思わぬことで驚いている。

ちなみにこうして書いている現在(2023.9.19)も、状態は一緒であり、少しも改善する気配はない。

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隔離中に、密かに楽しんでいたこと

微熱が中々下がらない、途中からは味覚がなくなって衝撃を受けるなど、それなりの辛さも伴った隔離生活ではあったが、さすがに何日か経過して痰の煩わしさからも解放されて、薬を飲むこともやめるようになってからは、やることがなくて退屈でたまらなくなってくる。

とにかく一軒家の2階の8畳一間に押し込められて、規則正しい生活はしなきゃダメだということで、朝はキッチリと8時には起きるようにしていたが、朝起きてからその後、特段やることがない。

僕は元々が異常な程の多趣味人間で、興味の対象が山のようにあるので、この環境は、大きな声では決して言えないが、願ってもない恵まれた環境

誤解を恐れずにハッキリ言ってしまえば、ある意味で「天国のような願ってもない環境」なのであった。

本来は働いていなければならないところ、「災害休暇扱い」で有給休暇を使うわけでもなく、バチが当たりそうな環境とも言えた。 

もちろん、色々と病院の改革のことも考えてはいたのだが。

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映画を観まくり、音楽を聴いて本を読む

一番時間を費やしたのは、言うまでもなくもちろん映画である。購入したままで未だに観ることができないでいた大作や上映時間の長いものを一挙に観た。

楽しみでならなかったのは、あの「RRR」のラージャマウリ監督の「バーフバリ」の2部作だった。2作を合わせると5時間半以上の大作にして非常に長い映画だった。

これをじっくりと心行くまで堪能させてもらった。

「RRR」に勝るとも劣らない抜群のおもしろさに、何と僕はこの2本をそれぞれ2回ずつ観てしまったと正直に告白しておく。通算時間11時間に及んだ。

このコロナの隔離療養期間中に観た映画を以下に列挙する。順不同。

①ラージャマウリ監督「バーフバリ 伝説の誕生」2回
②ラージャマウリ監督「バーフバリ 王の帰還」2回
③デイミアン・チャゼル監督「バビロン」
④ギャレス・エドワーズ監督「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」
⑤ウィリアム・フリードキン監督「L.A.大捜査線/狼たちの街」

隔離部屋に持ち込んだ未だ観ていないブルーレイのソフトの写真。ちょうど10本持ち込んだ。
隔離部屋に持ち込んだ未だ観ていないブルーレイのソフト。ちょうど10本持ち込んだ。観ることができたのはこの中の5本だった。但し、2本は2回観ている。
持ち込んだブルーレイのソフトをアングルを変えて撮影したもの。
アングルを変えて撮影した。一番上の「ローグ・ワン」は期待以上の抜群のおもしろさで、感動した。

 

当初、本もしっかりと読むつもりで隔離部屋に何冊も持ち込んだが、映画の方に熱が入ってしまい、それほど本は読むことができなかった。完読したのは1冊のみであった。

プラトン「プロタゴラス」。

隔離部屋に持ち込んだ本の写真。
持ち込んだ本はこちら。ちなみにこの隔離部屋(寝室)には大きな書棚が置いてあって、本を読むには事欠かなかった。

 

クラシック音楽はよく聴いた。ブルックナーの交響曲を改めて集中的に聴きこんだ。他には、DVDでムソルグスキーの「ボリス・ゴドゥノフ」の改訂版、あのタルコフスキーが演出を担当した貴重な上演を繰り返し鑑賞した。

隔離部屋に持ち込んだCDの写真。
CDもかなり持ち込んだ。
今回の隔離生活のために持ち込んだ本・ブルーレイ・CDの写真。
今回の隔離生活のために持ち込んだ本・ブルーレイ・CDの全体像。それほどの量ではない。

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無事に新型コロナから生還できた

年齢が年齢であり、しかも基礎疾患を山のように抱えている身としては、コロナに感染すると場合によっては重症化すると恐れていたが、結果的には軽症で済んで、微熱が続いたり、途中から味覚障害が起きるなど不安な要素もいくつかあったものの、7日間の隔離期間で無事に復帰できた。

飛蚊症の悪化や、疲れやすいなど、いくつかの後遺症的な課題はあるものの、ほぼ正常な状態に戻って、ホッとしている。

何よりも安心させられたのは、濃厚接触者との判断がなされた病院スタッフと、次男一家、そして我が家の中でずっと面倒をみてくれた妻が、その後も感染することなかったことだ。

そのおかげで、女房は漸く生後1カ月を迎えた孫の世話を再開させることができた。

僕も会いに行っている。本当に良かったと思う。

隔離療養は映画に没頭できたり、それなりに楽しんでいた部分もあるが、狭い部屋に閉じ込められての1週間はやっぱり辛いものだった。

外出は一切許されず、健康が回復してきてからは、本当にやりきれなくなってくる。

そんなときに隔離部屋から眺めた外の光景が忘れられない。

この強烈な夕焼けが、奇しくもわが想いを反映しているように思えた。非常に忘れ難い夕焼けとなった。

 

今後、第9波など新たなパンデミックが起きないことを願ってやまない。

そして今後も続く毎日5時間の通勤時間の中で再び感染することのないように、決して油断することなく感染防止に努めていきたいと決意も新たにしたところである。

 

 

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