目 次
極めて良心的な歯の治療を体験
歯の治療のことは知っているようで、良く知らない。分かっているようで、本当に良く分からないものだ。
誰だって、幾度となく歯医者には通い、時には恐怖に怯えながら治療を受け、歯科医の治療をそのまま受け入れて、内心では不安と不満を感じながらも、「まあ、こんなもんかな」と勝手に折り合いを受けて、長い人生を過ごしてきているのではないだろうか?
僕もそうだった。幸い、親しい友人が歯科医だったりするので、どうしても納得できない場合には、色々と意見やアドバイスを受けることはあっても、普段のかかりつけの歯科医が友人というわけではないので、普段の治療はかかりつけの歯科医の言いなりである。
それでも特段困ったこともなく過ごしてこれたので、あまり気に留めることもなかったのだが、今回は、思わぬ良心的な治療を体験することとなり、歯科医と歯科クリニックのことを考える機会があったので、報告させてもらう。
今回の僕の歯科治療は極めてありふれたどこにでもある、本当に典型的な歯科治療だった。
でも、本当にビックリしてしまったのだ。感動してどうしてもブログで報告したくなったという次第。
スポンサーリンク
被せてあった金属の詰め物が外れかかっていたのだが
2ヵ月位前、いやもっと前(もしかしたら年明け早々からだったようにも思われ、だとしたらもう半年近く前)から、左上の奥歯の詰め物が外れかかっているのか、舌で触ると引っかかって隙間が空いてる感じがあって、舌で触っているうちに外れてしまうのではないかと心配していた。
やがて、煎餅など硬いものを食べるとたまに痛みも出てくるようになったので、かかりつけの歯科医に行かなきゃいけないと思いながらも、日常生活で我慢ができないものではなかったので、中々受診できずに放置してしまっていた。
多分2〜3ヵ月間、下手をすると半年近く放置していたわけである。
さすがにこれはマズいと思って、電話で受診の予約を取った。
そして漸く本日土曜日(2022.7.2)かかりつけの歯医者に受診した。
先ずは、歯科衛生士のお姉さんが電話で訴えたことを調べてくれて、あっ!ここですねと下確認。そして先生の登場だ。
治療の実際は
先生は、診るなり即座にその被せてある金属の詰め物を外しにかかる。そして案の定、「金属の詰め物が取れかかっていて、その隙間から菌が入ったか、中が少し虫歯になっていますね」と、早速、削り始めた。そしてその外した金属の詰め物を再度被せる処置をしようとしているのが分かったので、「この前の詰め物がそのまま使えるんですか?」と尋ねると、「多分大丈夫だと思います」と言うのである。
この先生は腕のいい歯科医で、普段から非常に良心的な先生なのだが、少し言葉が足りない。僕は病院職員なのでこのようなIC、「インフォームドコンセント」をしっかりやってくれない医師には少し困るのだが、簡単な虫歯の治療にインフォームドコンセントもないかと、内心諦めてそのまま受け入れていた。
この先生は決して不愛想な先生でもなく、必要があるときにはちゃんと丁寧に説明もしてくれるので、不満もなかったのだが、今回のような場合には、「自己PRも含めて、もっと丁寧に分かりやすく説明してくれれば、患者ももっと喜ぶだろうに惜しいな」、などと思ってしまう。
「外れかかっていた詰め物からばい菌が入って、中で虫歯が少しできているが、その虫歯の治療を済ませば、この金属の詰め物をそのまままた使うことができますよ」と、先生の方からちゃんと説明してくれれば申し分なし、100点満点なのに。
そのちょっとした、それでいて患者を決定的に安心させ、喜ばせるその一言が足りないことは、残念であり、苦笑してしまうのだ。
ということで、 その虫歯の治療をして、何と元々被せてあった金属の詰め物をそのまま使って被せてくれたのである。金属を外した後、中を削って虫歯の治療をしているにも拘らず、新しく詰め物を作り直さずに、前の外れかかっていた詰め物をそのまま使ってくれたということである。その後も、嚙み合わせを確認したり、しっかり研磨してくれたりで、今ではきれいスッキリ。
治療は一回で完全に終了してしまったのである。
こんなことってあるんだろうかと驚きが収まらないのある。いい意味での衝撃に襲われた。
普通は金属の詰め物を作り直すのではないだろうか
そのM歯科という歯医者さんには数十年に渡って家族でかかっている歯医者さんで、前から信頼はしていたのだが、今回のことは初めての体験だった。
以前からたまに被せてあった詰め物が外れた際、その金属を取っておいて、それを持っていくと間違いなくそれを付け直してくれた。それはあくまでも硬いものを食べたりして外れてしまった場合であって(滅多にそんなことはないのだが)、外れた中の歯本体には虫歯も何もない場合である。
今回のように中が虫歯になっていて、その治療として歯の本体を新たに削ったにも拘わらず、外れた(外した)前の金属詰め物をそのまま再利用するというのは初体験で、ビックリさせられた。
素人が考えるに、歯の中の虫歯の治療を済ませた後、その治療として削った分、つまり空洞ができた部分を全体に覆うように金属をはめるはずなので、前の金属詰め物は使えなくなると考えてしまうのだが、違うのだろうか?
つまり、新たに治療で歯の中を削ると、その時点で自動的に前の金属は使い物にならなくなると考えるのだ、違うのだろうか?
被せてあった金属が外れる場合には、2つのケース
今の地元のM歯科医院にかかるようになってからは、被せてあった金属詰め物が外れることは滅多になくなったが、2つのケースが考えられると思う。
① 硬いものなどをかじった衝撃やガムなどが引っ付くなど、外部からの物理的な力が働いて外れてしまう場合
② 被せてある金属の詰め物の中で、虫歯が新たにできるなど、歯の中の悪化によって外れる場合
そして、素人の僕の考えでは、①は再利用というか、外れた金属詰め物を再度付けることは可能だが、②のように被せてある歯そのものが悪くなったが故に金属詰め物が外れたケースでは、再利用はあり得なく、新しく作り直すしかないと信じ込んでいたのである。
今回の僕のケースは、少しとはいっても中が虫歯になっていたケースなので、明らかに②に該当し、したがって、当然詰め物は作り直すしかないと覚悟していたわけだ。
ところが、実際には外れかかっていた詰め物をそのまま再利用して、付け直してくれたのである。
本当に衝撃を受けた。こんなことってあるんだ!!と今でも信じられない。
スポンサーリンク
金属を作り直した方が売上げ向上になると思うのだが
会計時に、受付のスタッフに驚いた旨とお礼を伝えると、「今、金属が高騰して手に入りにくくなっているので、今回、前のものがそのまま使えて良かったです」と言っていたが、歯科医側としても、金属の詰め物を作り直した方が、患者数も増える(再診)し、医業収益(売上げ)も明らかに増えるはずだが、そうはせずに、前の詰め物をそのまま再利用し、一回で済ます姿勢に感動してしまった。その医師としての判断に頭を下げたい思いだった。金属が入手できにくく、高くつくことは歯科医には責任はない話しである。
こうして僕は今回、1回だけの受診で治療は完全に終了したのである。新しく金属の詰め物を作り直すとしたら、引き続きもう一回、いや2回は通わなければならなかったはずである。
検診に、歯石も取ってくれて驚きの低額治療費
久しぶりの来院ということで、歯科衛生士が 歯の全体も診てくれて虫歯などがないか全てチェックもしてくれた。いわば歯科検診である。その結果、1カ所に付いていた歯石も取ってくれて、治療費はというと、何と全部で980円。いかにも安いなと感じた。
歯科衛生士が全体のチェックと歯石を取り、M先生の治療もそれなりの時間をかけて丁寧に対応してくれて、これで980円と言うのは、同じ医療業界に身を置いているものとして、少し恐怖心を覚えてしまった。明細書をみると326点となっている。
つまり今回の僕の治療については、この歯科医院には3,260円しか入らないということだ。何だか申し訳ない気持ちになってしまった。
あれだけやってくれて3,000円ちょっとの収入にしかならない歯医者も大変だなと感心したが、とにかくその良心的な対応に驚かされたのであった。
スポンサーリンク
親しい歯科医の友人に聞いてみると
今回のことは僕にとって本当に衝撃的な体験で、普段から非常に親しくしている僕の親友とも呼ぶべき実力派の歯科医に直接聞いてみた。ちなみにこの親友の歯科医は長野県の某市において、つい先日まで歯科医師会長を務めていた名医である。
そのS歯科医師いわく
「脱離冠を使うか否かは、症状にもよりますが、その窓口は安いですね。初診料と再セット代を算定すると、それだけで3割負担で当院では1090円かかります。
歯石等を除去する場合、歯周組織検査が必須なので、加味加算していくと3,000円は超えます。あくまでも院長の考え方なので何とも言えないのですが、相当、良心的な医院かも?です」との返事が直ぐに飛んできた。
そうか、あの外れた金属の詰め物を「脱離冠」と呼ぶのかと冒頭から、思わぬ勉強になったが、それぞれのクリニックによって、細かい料金が異なることにも驚嘆。僕が一番知りたかった脱離冠の再利用については、症状によるとのことで納得したのだが、多くの歯科医では作り直すのではないかと思った次第である。
僕流のいい歯科医の見分け方
僕は病院経営のスペシャリストの端くれで、使命は「課題を抱えた病院の立て直し」である。どれだけ実績を残しているのか覚束ないが、全力でこの天職を全うしようと日々格闘している。
その病院経営のプロとしての目ではなく、あくまでも自分の経験とこうあってほしいという希望を込めて、以下のように考えている。
的外れかもしれないが、僕の個人の考えはこうだ。
1.脱離冠は滅多に起きないこと。また脱離冠が発生した場合でも、できるだけその脱離冠の再利用に努めようとする歯科医。
2.歯を安易に抜こうとしない歯科医。一本でも多くの歯を残すことに拘る歯科医。
3.ブラッシングの重要性を強調する歯科医。
4.歯ブラシ1本で、歯を蘇らすことができると信じている歯科医。
ちなみにこの件を、僕の親友の歯科医に確認したところ、「この4つは、けだしその通り!」とお墨付きをもらった。
「グラグラの歯が歯ブラシと噛み合わせの調整でびくともしなくなるのは、幾度も経験済みだ」と。
その上で、「嚙み合わせをうるさく調整する歯科医は入れていいかも?噛み合わせ、慣れますからって言う歯医者はやめた方が良い」とのアドバイス。
実は、今日治療を受けたM先生も、いつもしつこいくらいに噛み合わせを聞いてくるのである。今日も、元々はまっていた金属で、むしろ削って低くなっているので、噛み合わせが悪いはずがないのだが、何度も噛み合わせの確認をされた。大切なことだったんだと得心がいった。
ということで、5番目を追加させてもらう。
5.噛み合わせをうるさく調整する歯科医。
良心的な名歯科医と巡り合いたい
ちなみにM歯科医院の明細書を良く見てみると、何と歯石の除去は一円も取っていないことが判明した。これにはビックリだ。請求漏れなのかもしれないが、クリニックの方針として歯石除去術をサービスで行っているとすれば、それはそれで脱帽ものである。
歯は大事である。歯科口腔は全身に影響があるのである。歯科口腔ケアを甘く見てはいけない。
日頃からのかかりつけの歯科医院がこれだけ良心的な歯医者さんであったことを喜びたいが、読者の皆さんも歯医者さんにはその腕というかスキルも含めて色々とあるので、どうか良心的な歯科医を選んで歯の健康を維持されることを心からお薦めしたい。
スポンサーリンク