あの花は果たして「旭の海」なのか?

今年、見事な咲きっぷりを見せてくれた例の大輪のサザンカ。元々品種の名称は分からなかったのだが、今年はこのブログの中では、とりあえず「旭の海」と名付けて呼んできた

ところが、この立派なサザンカは、どうも「旭の海」ではないのではないかとの疑惑が急浮上してきて、折角の機会でもあり、この際、このサザンカの正式な名前を調べてみることにした。

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ドライフラワーの第2弾

ところで、先日、ドライフラワーの第2弾を作った。1回目にシリカゲルで作ってみたところ、これが非常に上手く作れることが判明したため、もっとたくさん作ってやろうと思ったのである。

新たに8個作ったのだが、その中の2個は例の「旭の海」だと思っていた大輪のサザンカだった。

本当に大きい。

ごく一般的なサザンカである「勘次郎」と比べてみると、その大きさは歴然だ。

2回目に作った大輪のサザンカのドライフラワー2輪。
2回目も上手に作ることができた。かなり大きく見事なものだ。
右側にはごく一般的な「勘次郎」。左側の大輪との大きさの差は驚くべきものがある。
右側にはごく一般的な「勘次郎」。左側の大輪との大きさの差は驚くべきものがある。
大輪のドライフラワーのズームアップ
大輪のドライフラワーのズームアップ。実に大きく美しいもの。
シリカゲルから出した直後の大輪。最初に見た時にはビックリしてしまった。
シリカゲルから出した直後の大輪。最初に見た時、驚かされた。
ドライフラワーを補強するスプレーをかけた後。光沢が生まれる。
ドライフラワーを補強するスプレーをかけた後。光沢が生まれる。

似たような姿の花がたくさんある!

この大輪のサザンカ、調べてみると、「旭の海」ではないという疑惑が非常に強まってきた。似たような花が実にたくさんあることが判明したのである。

僕はサザンカとツバキに関するかなり高価な立派な図鑑のような本を持っていたのだ。

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「日本ツバキ・サザンカ名鑑」で調べる

この本は「日本ツバキ・サザンカ名鑑」というかなり分厚いオールカラーの図鑑である。日本ツバキ協会が編者となっている。360ページに及ぶオールカラーの立派な本で、どのページをめくってもたくさんの写真がビッシリと掲載されている。

写真も非常に鮮明な美しいもので、これは見事な写真集であり、図鑑である。1998年6月に発行されたものだが、当時で6,000円(税別)もする高価な本だった。

「日本ツバキ・サザンカ名鑑」の表紙の写真。
「日本ツバキ・サザンカ名鑑」。実に立派な美しい本。
「日本ツバキ・サザンカ名鑑」の裏表紙の写真。
「日本ツバキ・サザンカ名鑑」の裏表紙。約30年も前に6,000円もした豪華な本。
「日本ツバキ・サザンカ名鑑」を立てて横から撮影。
オールカラーの立派な本。圧倒的にツバキが中心。

 

ツバキとサザンカという兄弟のような似かよった花類の図鑑だが、何と360ページのうち、ツバキだけで307ページも費やされており、サザンカはわずかに31ページしかない。つまりサザンカはツバキの10分の1しかない。ちなみに巻末には索引が20ページある。

「日本ツバキ・サザンカ名鑑」を開いて中を撮影したもの。
どのページもこんな感じで、非常に美しいが9割以上がツバキである。

 

ツバキとサザンカでは、圧倒的にツバキが中心であり、サザンカの品種数はかなり少なく、ツバキの付録のような存在である。

「名鑑」でのサザンカは250種類しかない。いや、これでも250種類もあると言うべきか。

その中から、色や形で選別し、更に花の大きさなどを調べて、絞り込んでみた。

と言っても、実際には、「名鑑」の写真を見て、我が家のあの大輪のサザンカに近いものを抽出するだけである。とにかく写真を見て色や形状が良く似ているものを選んでみる。

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10個の品種が候補になる

10個の品種が候補になった。10個に絞り込まれたというべきか。その中にはもちろん「旭の海」も含まれている。それぞれ特徴があって、微妙な差で判断するしかない。

候補の10種類の品種の一覧

1.「旭の海」 東京→埼玉 【花】暗紅色、弁数の多い一重、大輪、11~12月 【葉】黄緑色 
             【樹】立性、やや弱い、枝が長く伸長

2.「東紅」  東京→埼玉 【花】桃紅色、一重、花弁にしわが多い、大輪、11~12月 【葉】大型 
 (あずまこう)      【樹】立性

3.「伊豆立寒」神奈川、カンツバキ系 【花】桃紅色、二~三重、大輪、11~1月 【葉】長楕円、中型 
             【樹】立性、強い、よく分枝

4.「栄光」  神奈川   【花】濃桃紅色、一重、大輪、11~12月 【葉】長楕円、やや大型 
             【樹】立性、強い 

5.「花笠」  埼玉    【花】桃紅色、重ね多い一重、大輪、10~12月 【葉】長楕円、大型 
           【樹】立性、強い、枝はやや太い 【その他】早咲きの大輪花で普及が望まれる

 

6.「藤衣」  熊本    【花】桃紅色、一重、大輪、11~12月 【葉】長楕円、中型 
             【樹】立性、強い、枝は太い 【その他】大輪の美花

7.「東雲」  東京→埼玉 【花】淡桃色、弁数の多い一重、極大輪、11~12月 【葉】長楕円、中型、 
  (しののめ)      黄緑色 【樹】立性、やや弱い 

「桃園錦」東京→埼玉   【花】濃桃色、花弁中央が淡色にぼかす、広弁、一重、大輪、11~12月    
             【葉】長楕円、中型、暗緑色 【樹】立性、比較的強い 

9.「大盃」  東京→埼玉 【花】桃紅色、一重、中輪(✕)、11~12月 【葉】楕円、やや大型 
  (おおさかづき)    【樹】立性、強い 

10.「根岸紅」 東京→埼玉 【花】紫をおびた桃紅、一重、中輪(✕)、 11~12月 【葉】長楕円、中型 
             【樹】立性、強い 

これを見て皆さんは、どう思われるだろうか?

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一つずつ検証してみる

「旭の海」は、当初からこれに違いないと信じ切っていたのだが、「枝が長く伸長」するという部分が、決定的に我が家のサザンカと異なる。写真を見ても、確かに枝が長く伸長してその先に大輪の花を咲かせているが、我が家のサザンカは、決してそうではない。

したがって、「旭の海」ではないと判断せざるを得ない。

「東紅」は写真を見ても、他の条件もかなり合致するが、「花弁にしわが多い」というのが気にかかる。我が家のサザンカは、大輪で、花弁は非常に華奢で繊細だが、しわは決して多くはない。むしろツルッとしていてしわはないので、「東紅」ではないと思われる。

「伊豆立寒」は、写真で見ると良く似ているが、「二~三重」というのが決定的に異なる。これも我が家のサザンカとは異なる。

「栄光」は、神奈川産でもあり、全ての条件が合致しているように思える。相当に有力だと思う。

「花笠」は、これまた否定する要素が何もない。「重ね多い一重」も合致し、早咲きという点でもしっかり一致している。埼玉産というのも条件が一致する。これも非常に有力だ。

「藤衣」も、色々な条件が合致するが、唯一引っかかるのは「熊本産」という点。そういう意味でも、我が家のサザンカが「藤衣」であるとは思えない。

「東雲」も、最も有力だ。東京→埼玉という点も根拠十分で、「極大輪」という点も有力だが、一つ引っかかる点は「葉が黄緑色」という点。我が家のサザンカの葉は極めて濃い緑色である。この1点だけで、「東雲」は否定されてしまう。

「桃園錦」も非常に有力だが、この品種の特徴は「花弁中央が淡色にぼかす」という点にある。どう見ても我が家のサザンカの花は、花弁中央が淡色にぼけてはいない。残念ながらこれも違うと言わざるを得ない。

「大盃」と⑩「根岸紅」は色々な条件が合致し、形状からも一致するのだが、「中輪」となっていて、その1点だけで否定されてしまう。とにかく我が家のこのサザンカは大輪なのである。

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2つに絞り込まれた

以上の検証から、最有力なのは2つの品種に絞り込まれた。

「栄光」か「花笠」のいずれか、だと思われる。

さて、それでは「栄光」なのか、「花笠」なのか?

専門家に認定してもらうしかないが、限られた条件の中で絞り込むと、「早咲き」という点が決定的だと思う。「花笠」はとにかく早く咲くということなので、我が家の4つの品種の中で、毎年、一番先に咲き誇る点を重視すると、あの大輪のサザンカは「花笠」ではないかと最終判断した。

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「花笠」だと最終認定した

様々な条件から判断するに、我が家のあの大輪の品種は、「花笠」ではないかと思われる。そうに違いない。

ネット上にある「花笠」の写真を以下に掲げてみる。確かに良く似ている。

サザンカ「花笠」の写真。ネットから引用①
サザンカ「花笠」の写真。ネットから引用①
サザンカ「花笠」の写真。ネットから引用②
サザンカ「花笠」の写真。ネットから引用②。花弁が傷ついているのが残念。この濃い緑色の厚めの葉は、我が家のサザンカとそっくりだ。
サザンカ「花笠」の写真。ネットから引用③
サザンカ「花笠」の写真。ネットから引用③。実に良く似ている。

 

どうだろうか?我が家の大輪の方が、花弁が少し尖っているように思え、少し異なるようにも思えるが、限りなく似ているように思える。

我が家の早咲きの大輪のサザンカが、「花笠」だと断定はしかねるが、今回、僕が調べた中では、「花笠」が最有力だった。ほとんどの条件と特徴が一致している。

ということで、今後はこのサザンカを「花笠」と呼ぶことにしたい。

我が家には、3本の「花笠」があって、今年は非常にたくさんの花を咲かせてくれた。しかし年の瀬の今日、「花笠」の花はほとんどが既に散ってしまっている。

 

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