先ずは新型コロナウイルス感染の状況だが

新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。いよいよ大変なことになってきた。今年の年明け中国の武漢から始まったこの感染症がわずか4カ月あまりの間に、地球上にパンデミックを引き起こし、本日、2020年4月26日(日)18時現在で世界の感染者数270万人超、死者数は18万7千人超、19万人に迫るという信じられない数字となっている。しかもこの数字が毎日毎日ものすごい数で増え続けていて、例えば昨日からの増加数は感染者が9万3千人超。死者数は5,750人も増えている。わずか一日でである。こんな具合に一向に収束する気配を見せないことが恐ろしい。
日本国内の状況を見ても、感染者数13,182人。死者数は348人に及ぶ。

日本国内の感染者数は全く信用ならない

日本国内の感染者数は、僕は元々全く信用していない。これは信用してはいけない数字である。理由は極めて明白。感染しているとの判定を下されるPCR検査を受けられるのはごく一部の患者だけであり、こちらが望んでも検査そのものが受けられないという世界でも稀に見るお粗末な対応がずっと続いているからである。

これには本当に納得できない。僕も医療の世界に身を置く医療人の一人として、本当に言いたいことが山のようにあるのだが、それはまた別の機会にしよう。

その意味では信用できる数字は348人という死者の数であるが、これも最近の報道では、死因不明者を調べたら新型コロナに感染していたという人が続出しており、この数字もあてにならなくなって来た。
いずれにしても世界はもちろん、ここ日本も空恐ろしい日々が続いている。目に見えないウィルスに怯え、おののいている毎日だ。

日本政府の新型コロナに対する対策と対応の悪さには怒りが収まらないが、それでもなんだかんだと言っても、今の日本は幸いなことにイタリアやスペインを筆頭とするヨーロッパ諸国やアメリカに比べるとまだまだオーバーシュート(感染爆発)には至っていない、そのことがせめてもの救いである。

だが、それもいつまでも続くという保障はどこにもない。むしろその危険性は日毎に高まっていると言わざるを得ない
緊急事態宣言が発令されて2週間以上が経過したが、その休業要請の中で急遽、明確に休業に追い込まれたのが映画館なのである。

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映画館と休業について

映画館は4月6日の政府による緊急事態宣言が発令されるまでは、閉館するべきなのかどうか、かなり微妙な存在だった。このことは忘れてはいけない。

緊急事態宣言発令以前は、コンサートや観劇などの文化的イベントはかなりのものが自粛に追い込まれ、延期や中止を余儀なくされたが、映画館はどうだったかというと、ハッキリ言うと足並みは揃っておらず、どちらかというと開いている映画館が多く、閉館措置を取っていた映画館は少数派だったと思う。

映画館が休業要請の対象になったのは

映画館が休業要請の必要な施設として一躍クローズアップされ、前面に躍り出たのは緊急事態宣言の後、正確に言うと、国の緊急事態宣言を受けた都府県知事が具体的にどういう施設に対して要請をするかにかかっていて、そこでどうなるかが問われたのだ。
東京の話しをすると、小池都知事の具体的な要請こそ鍵だったわけである。

もちろん、まだまだ記憶が鮮明だろうと思われるが、国はあれだけ遅きに失したくらいのタイミングで漸く緊急事態宣言を出しておきながら、経済活動の鎮静が気になって、国と小池知事との間でどのような施設に対して休業要請するのか最後まで揉めていたことを思い出してほしい。

その中で特に最後の最後まで調整に手間どっていたのは、理美容院とホームセンター、居酒屋の類いだったことは良くご記憶がおありでしょう?

僕はここで何を言おうとしているのか?

映画館については、国と都との議論の対象には全くならなかった。つまり緊急事態宣言が発令された最初から、映画館は議論の余地なく明確に休業要請施設の対象となっていたのである。
この点はハッキリしているのだが、この映画館の対応を巡っては、僕はシネフィルとして、定期的にギンレイホールに通い詰めている者として、その動向をずっと意識していた。当然のことだ。

世間ではもう3月には様々なコンサート、特にライブハウスなどでの演奏会の開催自粛が進んでいた時分である。その頃、実は映画館はどうあるべきかということは世の中の話題には全くと言っていいほど、なっていなかったのだ。

それでも、いくつかのシネコンなどでは自粛していた映画館も存在したのだが、かなり少数派であり、ちなみに我がギンレイホールも上映が続いていたのである。

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映画館は感染の可能性が高いのか?

正にそこが問題になるところ。

映画館は閉鎖された空間ではあるが、観客が一様に真正面を向いていて、しかも映画の上映中にはお喋りをする人は皆無なので、飛沫を発生させることは基本的にはない。

もちろん、楽しい映画では大声で笑ったり、ハラハラドキドキのサスペンスものやアクションものでは、声を上げる場面もあるだろう。だが、基本的にはみんなで大人しく前を向いて、静かにスクリーンを眺めているだけなのだ。

その意味では、コンサートなんかとは決定的に異なる。僕も深く関わっている合唱などはスクリーンに当たるところの舞台から大声で歌うわけだから、正に飛沫合戦、飛沫大会の体を様して相当に危険性が高いと言わざるを得ないが、映画館ではただ単にフィルムが映し出されているだけで、正面のスクリーンからは決して飛沫が飛んでくることはあり得ない。どんなに地響きを伴う大音量が流れてもそれはスピーカーから流れ出る音に過ぎないわけだ。

そんなこともあったのだろうか。緊急事態宣言が発令されるまでは、本当に信じられないくらい映画館の休業は話題になっていなかったのだ。

誤解があっても困るので、ハッキリ言っておくが・・・。

だから安心、危険はないとして、僕が緊急事態宣言発令までギンレイホールに足繁く通い詰めていたというわけでは、もちろんない。

僕は病院で働く医療人として、今度のこの新型コロナ感染については、人一倍神経質になっていた。それは職業柄も当然のことなのだ。
ギンレイホールに通うことは自粛していた。そうだったのです。2月くらいからギンレイホールに通うことは極力、控えていたのです。

これは僕だけではなく、僕の職場で結成されている「ギンレイホールで観た映画を語る会」のメンバーも、決して申し合わせたわけではないのだが、みんな一様にギンレイホールに行くことを断念していた。今、病院で職員が新型コロナに感染したら、病院は潰れかねないという危機感が見事なまでに共有されていたのだ。

どうしても観たい映画があって、観に行った僕は・・・。

ギンレイホールでは上映が続いている中、自粛していた僕だったわけだが、どうしても観たい映画があって、マズいな、良くないなと思いながら、観に行ってしまったのが3月18日(水)のこと。
『ホテル・ムンバイ』と『ガーンジー島の読書会の秘密』。映画にはどちらも非常に深い感銘を受けたのだが、それ以上に休憩時間に僕が目にして驚きもし、安心もしたことがあった。

そこで目にしたものは・・・。

休憩時間中、感染防止のためにスタッフが一生懸命、座席の手すり部分などを消毒している姿であった。支配人の久保田さんとも色々な情報交換をすることができた。いつもよりも換気を強くするなど、最新の注意を払っているとのこと。ギンレイホールは非常に人気のある映画館で観客が多いのが、こういう事態に陥ってみると、それが3密の密集にも該当しそうで不安材料ではある。でもこの日はさすがにいつもに比べると明らかに観客は少なかった。

繰り返すが、この時点では映画館での感染の危険性は不思議なくらい話題にはなっておらず、冷静に考えると観客が皆、真正面を向いていて会話を交わすことはなく、ステージでは映像が流れるだけという環境は、当時、自粛が騒がれていたコンサートやライヴハウスの類とは明らかに一線を画していたのだ。そんな中でのスタッフの懸命の感染防止対策は嬉しかった。
だが、感染防止に殊の外注意を払わざるを得ない僕ら病院職員はギンレイホール通いを、いわば自主的に避けざるを得なかったのだ。

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それが一変したのは、あの緊急事態宣言発令後!

また繰り返しになるが、緊急事態宣言後はもう議論の余地なく、映画館は休業要請の対象になった。僕は結論的には仕方ないと思っているが、この時に唐突に映画館というのがテレビのフリップ等に盛んに踊ったのは、少し驚きを覚えた。映画館は議論の余地なく繰り返し休業要請対象として取り上げられるのに、どうしてパチンコ店はいいんだ?何だか中途半端。ダメならダメで、危険性のあるものは等しく休業要請してほしいと思わずにいられなかった。


そのつけが今回ってきて、パチンコ店への休業要請がここにきてかなり話題となっている。どうにもやっていることに一貫性がないのある。

こうしてギンレイホールも休業に入った

国からの緊急事態宣言が発令され、それを元に都知事が具体的に様々な施設等に対して休業要請する中、遂にギンレイホールも休館となった。
仕方ないこととは理解しているが、非常に辛い。以下のとおり。

これが今、ギンレイホールのホームページに掲載されている休館案内だ。

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最後に忘れられないエピソードを一つ

休館となる直前にギンレイホールを訪問した!

ギンレイホールが小池都知事の休業要請に応じて、臨時休館としたのは上のスクリーンショットからもお分かりのとおり4月8日(水)からであった。僕は偶然にもその休館となる前日、つまり休館に入る直前の最後の開館日にギンレイホールに行って来た。
映画を観るためでは、もちろんない。
昼休みに抜けて、ちょっとした用足しに行ったのだ。

目的は2つあった

最大の目的は、上映中の映画のパンフレットを購入するためだ。是枝裕和監督の「真実」。これはカトリーヌ・ドヌーヴとジュリエット・ビノシュというフランスの誇る新旧大女優を二枚看板に据えたオールフランスロケの話題作。フランスマニアの僕はどうしても観たかったのだが、許されなかった。
そこでせめてパンフレットだけでも。いずれブルーレイで観ることになるだろうと。

もう一つは、実はこれが重要だった。新しく印刷・発行されたばかりの「ギンレイ通信」をもらいに行ったのだ。ギンレイ通信については前にこのブログで詳しく書いた(2019.10.2投稿「ギンレイホール【番外編】ギンレイ通信について」)が、ギンレイホールの上映スケジュール表。2カ月毎に発行される。ちょうど数日前に最新のものが発行されたばかりだったのだ。

このギンレイ通信を毎回、非常に楽しみにしている僕は、とにかく休館となる前にもらっておこうと駆け付けた。

これが最新のギンレイ通信。vol.217号

そこで顔見知りのスタッフと、大変なことになりましたね、いよいよ休館になりそうですか?などと少し会話を交わし、館内に置いているチラシなどをもらって、では残念ですがと去ろうとすると、「今、支配人がまいりますので」と思わぬ話し。ここで久保田さんに会えるとは夢にも思っていなかったのだが、スタッフが呼んでくれて、会いにきてくれたようだ。いたく恐縮した。

最後に支配人と話をすることができた!!

久保田さんとは、いよいよ休館を余儀なくされますね。映画館は必ずしも危険性が高いとは言えないと思いますが、緊急事態宣言後は盛んに映画館が話題となり、残念ですねと言うと、「まだ決定はしていませんが、休館せざるを得ませんね。でも仕方ありません。不要不急の外出をしないで!と呼びかけているときに映画館が開いているわけにはいかないのです」と。「なるほど、そういうことですね。でも本当に残念です」。

そして、入手したばかりの新しいギンレイ通信と入口に掲げられている今後の上映映画の看板を見ながら、これらがみんな幻の上映になってしまいますね、と二人で大いに残念がる。「レディ・マエストロ」は女性指揮者を描いた作品で、以前から久保田さんに薦められていたものだった。

こうして久保田さんとお互いの健闘を祈りながら、ギンレイホールを後にしたのだった。

最新のギンレイ通信。幻のスケジュール表だ。

受け取った新しいギンレイ通信は貴重なものとなる。上映が幻となるスケジュール表だ。これをあらためて見ると、久保田さんから薦めてもらったレディ・マエストロの他にもイーストウッドの新作など強烈に食指が動く魅力的なラインナップ。本当に残念だ。

vol.217号の表面と裏面
これです!幻になってしまった上映スケジュール。レディ・マエストロの他にもダニー・ボイル、イーストウッド、ケン・ローチと錚錚たる監督名が連なる。これが全て幻となってしまう。ずらしてくれるのだろうか?

その翌日に、ギンレイホールは臨時休館を決定し、その旨ホームページに掲載された。

しばらくして久保田さんから、「私としては、閉館の措置で正直多少はホッとしています」旨の連絡をいただいた。

これには胸が詰まった。思わず絶句。
映画も大切だが、今は人の生命がかかっている。そのためにはこれは仕方がないし、むしろいいことだと思うしかない、というギリギリの思いが何とも口惜しく、悔しい。

新型コロナのバカ野郎!!

職場の病院の検診事業も中止された。
合唱団の活動も、2月の後半からズッと休み続けている。演奏会も先送りして、丸々1年間延期することにした。
Googleアドセンスの審査もやってくれない。

そして、こうしてギンレイホールも遂に休館してしまった。

一体これは何なんだ!?
どうして世界はこんなことになってしまったんだ!?

とにかく新型コロナウイルスの一日も早い終息を祈るしかない。

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