塩野七生の作品はかなり読んできた このブログでは一度も取り上げたことがなかったが、塩野七生の本は今までかなり読んできた。僕にとって立花隆や米原万里、吉田秀和のように心から心酔し、好きで好きでたまらないという程の作家ではないが、それでもかなり熱心に読んでいる一人である。 塩野七生といえば何と言っても膨大な長さの「ローマ人...
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スターリン目線で描く大粛清の真相 これはまた何とも興味深い本があったものだ。「大審問官スターリン」。亀山郁夫によるスターリン研究の金字塔というか、集大成と呼んでいいものである。 既にこの熱々たけちゃんブログで取り上げた「磔のロシア」の姉妹書と言うべき作品であり、この両者は表と裏という関係と呼んでもいい。 今回の「大審問...
何の事前情報もなく観た映画が、実は 僕の中で「観なければ」と課題となっていた映画を漸く観ることができた。1昨年に公開された映画であり、とっくにディスクにもなり、レンタルもされていたので、その気になればいつでも観ることができたのだが、何故か観ないまま大切にしてきた映画。 ようやく観ることができた。「期待どおり」の素晴らし...
「手塚ノワール=黒手塚」について 久々の手塚治虫は「ボンバ!」を取り上げる。この「ボンバ!」は実に暗く、怖い作品である。 手塚治虫には手塚治虫の一般的なイメージとは程遠い極めて暗く、救いようのない作品がいくつもあることは紹介してきたとおりである。 特に「ビッグコミック」に連載してきた青年向けの作品にその傾向が強いことも...
「戦争は女の顔をしていない」が日本人の手によって漫画化 紹介したアレクシエーヴィチの「戦争は女の顔をしていない」がコミックになっている。漫画化されたのだ。それも何と日本人の手によって。 漫画といえば日本が世界に冠たる文化を誇っているので、日本人ということは十分にあり得るのだが、それにしても日本人の手によってこの独ソ戦...
前編からの続きである。 「戦争は女の顔をしていない」で描かれているもの これにはもう圧倒されてしまう。 独ソ戦に出征したありとあらゆる女性たちが紹介される。 医師あるいは看護婦として兵士たちと行動を共にしたということは、どこの国にもあった。それは当然想像できる。 ソ連の場合には、女医や看護婦、衛生士などももちろんたくさ...
きかきロシアのウクライナ侵略戦争がひど過ぎる 2022年3月下旬。目を背けたくなるような本当に酷いことが毎日ウクライナの地で続いている。 ロシアによるウクライナへの侵略は、ロシアが一方的にウクライナに攻め込んだ侵略戦争の開始からほぼ1カ月が経過した。 侵略戦争を開始したプーチンが当初考えていたようなほんの2〜3日でウク...
亀山郁夫の渾身の一冊「磔のロシア」 亀山郁夫の渾身の一冊を読み終えた。タイトルは「磔のロシア スターリンと芸術家たち」。磔は「はりつけ」だ。生々しい中々強烈なタイトルである。 現在、ロシアによる一方的なウクライナへの侵攻(日本の報道ではどこでも侵攻と言っているが、これは明らかに侵略戦争に他ならない)が続いている中で、ど...
半藤さんとの対談本の紹介:第6弾 久々に半藤一利さんの対談本を紹介する。既に5冊を取り上げており、今回は第6弾になるが、あの出口治明さんとの「世界史としての日本史」という新書である。 半藤さんと出口さんとの対談本の紹介は、今回2冊目であり、既に一度紹介済みである。 1冊目はあのおもしろさ抜群の「明治維新とは何だったのか...
出口治明が世界史から10人のリーダーを選ぶ 既にブログで紹介させてもらった池上彰の「世界を変えた10冊の本」、佐藤優の「悪書の勧め」「悪の処世術」など、一定数の本や人物を紹介する本を何冊かまとめて読んで来たのだが、その最たるものが、今回の「世界史の10人」だ。 この熱々たけちゃんブログではすっかりお馴染みの出口治明の本...
世界中での大絶賛に納得も、不満もある カンヌ国際映画祭に続いて、アメリカのゴールデングローブ賞でも作品賞に輝き、3月27日(現地時間)の発表を待っているアメリカの第94回(2022年)アカデミー賞においても外国語映画賞ばかりか本家本命の作品賞や監督賞、脚色賞にもノミネートされている「ドライブ・マイ・カー」。その勢いが全...
あの戦争への加藤陽子の分かりやすい総括 加藤陽子の本はこのブログの中でも何冊か紹介してきた。「太平洋戦争への道 1931~1941」という半藤一利さんと保阪正康さんとの鼎談本もあったが、何といっても傑作は「それでも日本人は戦争を選んだ」であった。 「それでも日本人は戦争を選んだ」はかなり分厚い文庫本であったが、それに...
シベリウスの最高の指揮者ベルグルンド すごいブルーレイを試聴した。あのシベリウスの全交響曲の演奏会のライヴ映像。指揮者はパーヴォ・ベルグルンド。 シベリウスのファンはもちろん、少しクラシック音楽に詳しい人なら、パーヴォ・ベルグルンドのことを知らない人はいないだろう。 世界最高のシベリウス指揮者。シベリウスの交響曲の数え...
静かな感動作に心が震える 素晴らしい映画を観た。「ノマドランド」。これは稀有の傑作だ。といっても、いかにも地味な静かな映画。派手な言葉は全く似合わない。ほとんどドキュメンタリーのような地味な映画であり、控えめな静かな感動がじわじわと込み上げてくる、そんな趣きの作品だ。 かなり話題となった映画ではある。昨年(2021年)...
観逃してはいけないちょっと特殊なサスペンス映画!? 何とも形容が難しいちょっと特殊な映画を観た。昨年(2021年)のアカデミー賞(第95回)で脚本賞を受賞した話題作である。 すごい映画とか、衝撃を受けるとか、打ちのめされるとか、そういう重い形容はいかにもそぐわない。と言って、ここに描かれるのは紛れもなく社会性も持ち合わ...
哀切感に満ちた美し過ぎるロードムービー テオ・アンゲロプロス監督が1988年に撮った「霧の中の風景」は、これ以上の映画を思い浮かべることができないような究極の美しさと感動を備えた珠玉の名作である。胸を締め付けられるような哀切感がひしひしと迫ってくる稀有の傑作だ。 テオ・アンゲロプロスはギリシャが生んだ世界屈指の映画監督...
僕のドストエフスキー遍歴 ドストエフスキーは僕にとっても非常に大切な作家である。高校時代から読んできたが、当時は初期の抒情的にしてロマンチックな作品ばかりを愛読してきた。「貧しき人々」や「白夜」などを何度も繰り返し読んだものである。 後期の未曾有の大作群のことは、非常に気になりつつも中々手が出せなかったが、例の読書界に...
今度はズバリ独裁者列伝だ 2021年から2022年にかけての年末年始に集中的に読み切った3冊の本の最後は、前回取り上げた「危ない読書」の佐藤優だ。 久々に佐藤優の新刊を読んで、悪書の紹介は非常に役に立ち、楽しめたことに気を良くして僕は、引き続きもう一冊、佐藤優を正月に読んだわけだ。それが「悪の処世術」というこれまた新刊...
佐藤優の「危ない読書」に思わず夢中になってしまう 2021~2022年の年末年始6連休中に読み終えた3冊の本のうちの2冊目は、佐藤優の『「危ない読書」~教養を広げる「悪書」のすすめ』であった。実におもしろく、思わず夢中になってしまった興味尽きない1冊だ。 「危ない読書」ということであり、ここで紹介される数々の本は、いず...
気楽に読み始めたらドンドン深みに 2022年を迎えた年末年始の6連休。何か気軽に読める本をと、酒浸りの日々で読んだ本が3冊。新書2冊と文庫1冊。3冊を一気に読み終えた。 いずれも気軽に読み始めたのだが、こちらの思惑はかなり外れて、それぞれ大いに夢中にさせられ、非常に勉強になった。やはり本から得られる情報は貴重で、自分の...
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